最近出会ったバンド

 しばらくテレビドラマを見ていなかった。おそらく10年以上。ところが、ここ3年くらい、急に一週間に何本もドラマを見るようになった。アニメも何本か見た。いくつか自分にちょっとした変化があった。

 例えばドラマを見て感動して、勢い余って、感想をnoteに投稿するようになった。これは本当に自分でもびっくりしている。自分の書いたものを公衆の面前にさらす、なんて考えたこともなかった。当然スキは大して付かないのだけれど、1つでも付けば天にも昇るうれしさである。(付けてくださったみなさん、本当にありがとうございます。1人1人にお礼を言って回りたい気持ちでいっぱいです。)これはちょっとした変化。

 もう一つは、今まで知らなかった多くのミュージシャンを知ることができたということ。音楽好きでありながら、なかなかここ15年ほど新しいミュージシャンに出会う機会が少なかった。ストリーミングサービスの有料会員になっているものの、昔聴いていたミュージシャンの曲を懐かしがって再生することがほとんどだった。ところが、ドラマやアニメの主題歌やエンディング曲には、現在第一線で活躍するミュージシャンの楽曲が使われることが多い。気になる曲があるとすぐに検索して他の曲もいろいろ聴けるので、本当に新しい出会いが増えた。

 『僕の姉ちゃん』のオープニング、ハンバートハンバート。『日曜の夜くらいは』のMrs. GREEN APPLE。アニメ『スキップとローファー』のオープニング、須田景凪。同じくアニメ『葬送のフリーレン』後半のオープニングのヨルシカ。『いちばんすきな花』藤井風。そして『海のはじまり』back number。どれも主題曲だけではなく、いろいろな曲を聴いて楽しんでいる。そして、『ワカコ酒7』の浦小雪と、会員になっているストリーミングサービスが浦小雪のページからお薦めしてきた、Laura day romance。Laura day romanceは直接ドラマには関係ないが、ドラマをきっかけに知ったと言っていいのではないかと思っている。Laura day romanceは結構気に入っていて、ドラマや映画の主題歌を十分担当できるセンスがあるのでは、と勝手に思っている。

 でも、今回語ってみたいのは、ドラマとは何の関係もなく出会ったバンドである。とても気に入ったので流れを無視して挙げておきます。きっかけはドラマではなく小説。つい最近、住野よるの『恋とそれとあと全部』を図書館で見かけて、何となく借りて読んでいたところ作品中に出てきた、ズーカラデルというバンドである。名前が面白かったので、すぐにストリーミングサービスで検索し、一番新しいアルバム『太陽歩行』を聴いてみた。聴いているうちに「ブルー・サマータイム・ブルース」が耳に残った。次に「しろがね」。そしてとどめを刺したのが「ダダリオ」。ダダリオの意味が分からない。検索すると、ギターの弦のメーカーだと分かった。歌詞に一カ所だけ「ダダリオ」が出てくる。「突然虹が出て その上を飛んで行けたりしないかな 地上に暮らし這いつくばる 誰にも見えない弱い力で 錆びついた鼓膜を揺らせダダリオ 今でも消えない指の痛みを 君は笑うだろうか」虹の上を飛んで行けないかな、と歌った直後に、実際には自分は地上に暮らし這いつくばって生きている、と続く。心に刺さった。

 「突然多くの人に自分たちの歌を聴いてもらえるような、大成功を収められないかな。でも、実際には自分にはそんなことは起こらない。厳しい現実があるだけだ。それでも、自分の力は弱いけれど、このギターが奏でる旋律で、なんとか誰かに自分の思いを伝えたい。そんなことを、指の痛みに耐えながらギターを一生懸命に覚えたあの頃と変わらず、自分は願っているんだ。君は笑うかもしれないけれど。」こんなメッセージが私には聞こえてきた。

 私には、「詩とはメタファー(隠喩)だ」という思いがある。(忘れられない古い映画に出てきたセリフだが、そのことについてはまた機会があれば)すべてを説明しているのは詩ではない。本当の意味は隠れているものなのだ。ズーカラデルの歌詞はまさに意味が隠れていると思う。だから聴いている者が考えることができる。意味が分からず聞き流していても、あるとき急に頭の中で意味がひらめく。吉田崇展はそのような詩が書ける人なのだ。Spitzともつながりがあることは後で知ったが、大いに納得した。(Spitz大好きである)韻を踏むのもとても上手だと思った。これは韻ではないが、「イエス」という曲の歌詞の一節、「yesと言え」って聴いていても口ずさんでも気持ちよすぎる。これって「Say yes」と同じ意味だよなあ、と思ったらちょっとおかしかった。Say yesというフレーズは有名なのに「yesと言え」はありそうで今まで私は聴いたことがなかった。

 そのほかにも、聴くたびに新しい曲がどんどん心に入り込んでくる。正直聴く曲ほとんどをよく感じるなんて、あまり経験がない。こんな歌が書ける吉田崇展に嫉妬する。うらやましい。そういう感情がわき起こってくるのも久しぶりだった。3人のバランスもなんかいいんだよなあ。それにしてもLaura day romance、back number、ズーカラデル、どれも3ピースバンドである。はやっているわけではないのだろうが、ちょっとした面白い偶然だった。

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