法科大学院合格記録ーあるオンライン添削受講生の合格記録(1)
オンライン添削受講生からロースクール入試の合格体験記を寄与していただきました。「1」では、原稿をそのまま掲載したいと思います。
これは、法科大学院合格記録である。個人的に、合格体験記については、ある種の胡散臭さを感じている(だからこれは、合格記録)。
私は、この合格記録(1)で、安田先生からご指導について、自分の印象や経験を超える絶賛をするつもりもなく、むしろ安田先生ご自身がそれを望んでいないことは承知している。そこで、この合格記録(1)は、特に先生から依頼をされることも、執筆の謝礼などのやり取りをすることなく、自発的に書かせていただくこととした。要するに、棚卸し、といったところである。
安田先生のイイところ。うーん、服装?ヒゲ?思い返すと、いろいろある。
その中で、一番試験会場で効いたのは、「時間を測って、六法だけで答案を書く」という指導だったと思う。
正直、最初は懐疑的な部分もあった。巷では、論証集を見ながら書く方法も提唱されていたし、基本書等で調べながら書く方法も推奨されていた。まぁ、確かに六法だけだと、規範めちゃくちゃだしなぁ・・・と。とはいえ、先生を信じて、時間を測って、六法だけで答案を書くことは貫いた。
結局、その経験が、試験本番で、自分を救ってくれた気がする。
入試問題は、憲法も、民法も、刑法も、よくわからなかった。ただ、右を向いても、自分の本棚はない。机の上に、論証集も置いてない。はて。そこには、頼りない自分と、妙に他人行儀なポケット六法しかいなかった。目の前にはゴリゴリ書いているおじさんがいて、背後からは狂気ともいえるボールペンの執筆音が迫ってくる。ま、要するに緊張もして焦っていた。
とにかく時間は過ぎていくのだけど、ふと、「あぁ、そういえば、いつも起案のとき、「わかった!!」なんて問題は一つもなかったな・・・」と思い出す。いつも通りやるか、と書き始めた。都合よく、「いつも通り書けば大丈夫」との安田先生のお話も思い出す。時間感覚もいつも通り。「迷ってても、白紙になるだけ。誠実に、迷ってますってことを丁寧に書くかぁ」と書き始めた。
憲法も、民法も、刑法も、よくわからないなりに、わかったふりをしないことを心掛けて書いた。結局、3科目とも、3頁いっぱい書くことはできたし、野球の話からサッカーの話になるような、そんな論理破綻はなかった(と思っている)。
日々の答案作成において、「これは無理やな」というところからスタートする起案というのは、毎回起案スタート時に足の小指をぶつけるような嫌な感じがある。ただ、結局は本番に「これは無理やな」と足の小指をぶつけるわけだ。とりあえず、それに慣れておかなければなるまい。「時間を図って、六法だけで答案を書く」。そういえば百獣の王・武井壮が、「100m走の自己ベストを出したいなら、毎日100m走を全力で走って、自己ベストを出し続けるのが一番合理的」のようなことを言っていたのを思い出した。
とにかく、「時間を図って、六法だけで答案を書く」。このスタイルが、主観的には良かったと思っている。客観的にも、学費全免での既習合格という結果を得た。非法学部(工学修士)でアラサー、良かったといえるのではないか(ローのレベルの話はしないでほしい。そういう話はしてない。)。
さて、「毎回起案スタート時に足の小指をぶつける」という日々を過ごすと、どうやら足取りが重くなっていく。そんな時に、背中を押してくれる(というか、治療しますよと見守ってくれる)のが、個別ミーティングである。卵が先か、鶏が先か。これは安田添削コースになくてはならない要素である。
従業員で、夫で、父で、受験生という(バラク・オバマのbio欄を真似た)ステータスにあって、日々、足の小指以外にも、いろいろなところを痛め、すり減らし、抜けていっている。
そういったときに、テクニカルな法律の指導は、時に標準治療にならないこともある。甘えかもしれないが、無理なものは無理だ。できる人のことは尊敬するし、私は勝てないと思う。
ただ、前には進みたい。心のどこかで「俺はやれると思ってる、それを誰かに言ってほしい」時に、「今は焦らず。ちょっとペース緩めましょう」「ここは踏ん張りどころだよ、このまま行こう。」「大丈夫、思ったことを自信もって書いてきてごらん」そういったコメントを言ってくれるのだ。
これは、安田先生のすごさであろう(もしかすると、司法試験講師は皆そうなのかもしれない。ただ他の方の指導を知らない)。私は、壊れることなく、ここまで来ることができた。
ここまで書いて、先生から、あまり細かな法律論についての指導は受けてきてなかったことに気づく。もちろんワンポイントレクチャーや、質疑応答の充実感はあったが、論証を例示されたり、判例の詳細な解説は特になかった(もっとも、知識整理編は、OLSのイベントなどでバランスがとられていたし、OLSのイベントについてはここで書き尽くせない)。
先生の「勉強は、最終的には自分でするもの」というスタンスは、個別ミーティングや添削の中でも貫かれていて、答えを教えてもらう機会は少なかったように感じる(いや、もはや、なかった)。これは決してクレームではなく、それでよかったのだ。
繰り返す。先生は、「勉強は、最終的には自分でするもの」というスタンス。なおかつ、「良い問いが人を育てる」との座右の銘である。答えなんて教えてくれるわけないではないか。
ということで、相当問いかけられる。不思議なもので、わからないのだけど喋っているうちにわかっている自分に気づくこともあるし、調べていった経緯の方を思い出して、それが本丸の記憶を喚起することにつながったりもした。
書籍を調べるときは、必然的にその本丸の周辺も見ることになり、意外とそういう何気ないことの方がよく覚えていた(これを狙っていたのか)。
「〇〇について理解していないようにも読めます」「〇〇についてどう考えますか?確認しておいてくださいね」と、添削されることも多かった。だから、復習には時間がかかった。これを嫌う人(模範答案がほしいという人)は、安田先生は混ぜるな危険だ。そう簡単に教えてくれない。
ただ、逆説的なんだが、絶対に最後まで教えてくれる人なのだ。わかるまでそばにいてくれる、という感じか。
以上、自分が歩んできた道は間違ってなかったように思うし、これからもこのまま歩んでいきたいと思っている。次に書く合格記録(2)は、2年後に。そのときには、もう少し偉そうなことを書きたいと思う。
そうそう。私が、安田先生の起案コースをスタートしたのは2020/9/17。日本大学大学院法務研究科の合格発表は2021/9/17。これを運命と言わず、、、ここらへんでやめておきます。
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