【満点も可能?】上三法を固める-短答式試験対策基準点突破講義レビュー分析【司法試験/予備試験】
ーー定期的に講座の内容を思い出しながら、演習を繰り返すことで、刑法と民法は30点満点、憲法も20点と、良い結果がついてきた。(2021年予備試験短答式試験合格者)
2022年短答式試験対策が気になっている方も多いのではないでしょうか。「論文で手一杯でそれどころではない…」、「年明けからでも間に合うから…」ということで後に回していませんでしょうか。
周りに受験生がいれば聞いてみてください。「年明けの短答式試験対策で間に合わなかった…」という声も聞かれるところです。
早めの短答式試験対策のために、講義を利用するのも一つの手です。今日は、私が実施した「短答式試験基準点突破講義」を受講し、予備試験短答し式試験の刑法と民法で満点を取った方の講座レビューを紹介していきます。その中で、私の考えも記載していきますので、今後の対策の参考にしてみてください。
1 受講の検討理由
予備試験の短答対策は、過去問の選択肢又は設問が分野別に並んだ問題集を何周も「回す」ということが一般的な勉強法だと思います。私が使用している肢別問題集の場合、7科目で8~9万肢ほどありますので、1日300肢解いても、1ヶ月を必要とする計算になります。
そのため、単純に計算すると、1月から対策を始めても、本番までに4回目に触れるのが精一杯となります。もちろん、定着した問題などを飛ばすなどの工夫が可能ですので、5回・6回程度はできるかもしれません。
このように4~6回程度、各選択肢を解くことによって得られる効果は、分野によって大きく異なります。すなわち、論文でも扱う知識については、1~2回やれば定着する一方、そうでない知識については、整理された知識についての体系的な理解が及んでいないので、単純暗記に頼りがちになり、4~6回程度の対策では足りません(個人差があると思うので、あくまで私の場合です。)。
そこで、そのような分野について、知識の整理と体系的な理解を得ることにより、論文と重複する分野と同じように少ない演習回数で知識定着を可能にすることを主な目的として、短答基準点突破講座を受講することを検討しました。
2 受講に当たって気になった点
受講にあたり、①予備試験受験生であるにもかかわらず3科目の講座で良いのか、②論文試験対策の時間が足りなくなってしまわないか、という点が気になりました。
(1) ①については、予備試験の短答であっても、上3法を中心に対策すべきであると考えました。この理由は2つあり、一つは得点効率の問題であり、もう一つは司法試験を見据えた優先順位付けの問題です。
まず、得点効率の問題について、具体的には、商法・訴訟法と比べて、いわゆる「短答プロパー」が一定の体系だったかたまりをなしている分野であることを言います。すなわち、「家族法」、「統治分野」という体系だったかたまりになっているため、商法や訴訟法の細切れの短答知識を入れるよりも、効率良く知識を習得できます。
また、司法試験を見据えた対策としては、言うまでもなく、上3法しか短答がないので、長期的に上3法を優先するのは当然の戦略と言えます。
(2) ②については、論文対策との相乗効果があったように思います(まだ論文に合格していないので確かではありません)。すなわち、債権総論の条文知識や、刑法各論の構成要件の定義など、論文対策であやふやになっていたところを講義の中で整理していただけたので、結果的に論文対策にも有効であったと感じているということです。
3 講義の感想
(1) 憲法
統治分野について、2回程度の講義で体系的な理解と知識の整理を完全に終えることができました。
本講座の特徴として、1つの記憶で複数の知識を習得できる点があげられます。たとえば、「衆議院の優越」といったときに、法律案・予算案・条約承認・首班指名がありますが、実は、予算案・条約承認・首班指名は、細かい日数や審議の順番が異なる以外に、大きな違いはありません。これらをまとめて整理するか、別々に整理するかによって、体系的な理解度も、整理にかかる時間も大きく異なってきます。
本講座では、こういったことを踏まえて、効率よく情報を整理していくことができますので、その場で知識の整理を終えることができ、あとは問題演習をやりながら復習すれば、おのずと知識の定着も達成されると思います。統治分野は、一部を除き論文にあまり出ないので、時間を極力かけないことがポイントだと思うので、本講座の内容が効果的だったといえます。
(2) 民法
親族法分野について、予備校の入門講義以外に勉強をしたことがほとんど無かったのですが、本講座で基礎から学び、実際の問題に対応できるところまでレベルアップすることができました。
たとえば、結婚・離婚に伴う姓や親族関係の変動や、相続額や遺留分の計算、廃除があった場合の取扱いといった事項は、基本書を読んでもなかなかイメージが湧かず、かといって問題演習をやってもなかなか解けず前に進めない分野だと思います。
しかし、本講座では、制度の内容と趣旨からはじまり、実際の問題の解き方まで解説していただけたので、受講後には、基本書も読めるようになり、問題演習も抵抗なく取り組めるようになっていました。
債権総論分野について、細かい条文が多数あり、それぞれを混同しやすい分野です。たとえば、保証契約一つ取ってみても、契約の効果が主債務者との関係で変わってきます。
また、連帯債権・債務の絶対効・相対効など、多くの人が語呂合わせに頼るような複雑な分野があります。これらについても、「どうしてこのような規定になっているのか?」というところに遡っての解説をしていただけたので、安易な丸暗記に頼らず、本質的な理解ができるようになりました。
(3) 刑法
刑法については、憲法・民法ほどは短答プロパー知識が少ないですが、刑法各論の短答試験では、論文試験では出てこないような犯罪について構成要件を抑えておく必要があります。
これらを一つ一つ自分で抑えていくとなると、基本書を読むことになりますが、基本書では、これらの犯罪についての解説があっさりしすぎている傾向にあります。
そこで、分かりやすく、かつ端的に各犯罪の構成要件を解説していただけた本講座は重宝いたしました。また、執行猶予の要件や、刑の軽重の比較など、どうしても手付かずにしてしまいやすい分野についても、コンパクトにまとまって説明いただけたため、こうした分野についても、抵抗なく問題を解けるようになりました。
なお、前述のとおり、短答プロパーが少ないため、私は、刑法についてのみ、試験直前期にまとめて受講し、講義で取得した短期記憶を持って試験に望むようにしました。個人差があると思うので人によって採るべき戦略は変わってくると思いますが、参考にしていただければと思います。
4 講座受講後の活かし方
私は、本講座を受講してすぐに知識を定着することを目的に、受講後できるだけ速く、肢別本の該当分野を一周するようにしていました。
これにより、知識をどのように使うのか、ということが整理できたと思います。その上で、定期的に講座の内容を思い出しながら、演習を繰り返すことで、刑法と民法は30点満点、憲法も20点と、良い結果がついてきたと思います。前述のとおり、上3法で合格することを目指していたので、当日も、しっかりとこれらの科目を取りこぼさないように心掛け、結果的には、上3法で80点、下4法で80点というように、戦略通りの結果となりました。
来年の司法試験、又は予備試験に向けても、この講座の復習から対策をはじめていきたいと考えています。