小説VS漫画 リレー作品:第14話 癌口(小説)
「自分だって人殺しのくせに」
その言葉の衝撃に脳が麻痺し、時が止まったかのように感じた。思い出すのはしばらく自分の中でも薄れていた記憶、紛れもなく俺が殺人をしたという事実。
「一人殺そうが何十人殺そうが大して変わらないよ?」
受け入れ難いのはタイヘイの言葉ではない、自分の中で殺人の記憶が薄れかけていた事だ。そして他人が殺人を犯す事に対しては嫌悪を示す自分の中の矛盾。
「何で俺が人殺しだなんて……」
咄嗟に否定しようと言葉を発する。だがタイヘイは俺を見て優しく微笑んだ。