2024年に読んだ本
昨日は2024年に見たドラマの話を書いたので今日は読んだ本について書こうと思います。
今年はあまり本を読めませんでした。ダラダラとスマホを見てしまう悪しき習慣のせいです。延々とSNSを見てると無限に時間が流れ、気づくと心がガサついてなんとも言えない不快感が残ります。一方、読書はマイナスなことは一切なく、読んだ内容にもよるだろうけど疲労感ではなく、頭がスッキリするような感覚があります。6分間の読書がストレス解消になると言いますし、来年こそはもっと読書したいです。
さて、今年読んだ本の一つは、『黄色い家』(川上未映子)です。私は数年前からポッドキャストで『真夜中の読書会』というのを愛聴していまして、そのパーソナリティーの川端さんイチオシの『黄色い家』を読みました。
ノワール小説というそうですね。主人公がどうしようもない不運な境遇にあって状況が一瞬好転したかに見えてもまた奈落の底に突き落とされるような出来事が…という話。私はそういう話が好きなのかもしれません。昨年は『真珠とダイヤモンド』を読んでこちらも衝撃的でバブル時代に思いを寄せた作品でとても良かったのを覚えています。
『黄色い家』では現実社会の厳しさを嫌というほど思い知らされます。今もどこかで彼女たちのような女性がいるのではないかと思わされます。そしていつ何があって自分もそういった世界に足を突っ込むことになるかもしれないといううっすらとした恐怖も同時に感じます。それでも主人公のひたむきに状況を変えようとする姿には胸を打たれました。みんな幸せになってほしい。
次に、『赤と青のガウン』(彬子女王)を読みました。きっかけはXで、「文庫本が出るのでぜひ読んでほしい」というツイートがバズってたまたま目にしたことでした。正直、彬子女王の存在さえ私はこの本を通して初めて知るほどに皇室関係には無知でした。それでも皇族として生まれた人によるイギリス留学体験記には非常に興味が湧きました。なぜなら私もイギリス留学の経験があったからです。
読んでみて、彬子女王の研究者としての素晴らしさに圧倒されました。皇族として初めての博士課程というプレッシャーは計り知れない上に、いわゆる特別待遇を受けることなく本気で研究者として論文と格闘し、オックスフォードという凡人には決して届かない世界最高峰の研究機関で博士課程を取るに至った過程がとてもおもしろかったです。私は修士課程だけなので比較にならないけど、母国語ではない環境での論文作成がいかに厳しいものかは想像できます。
皇族であるからこその人脈などメリットは多くあったと思いますが、運も味方につけて自分の生まれや境遇に甘んじることなく挑戦する姿には勇気をもらいました。また、本を執筆するにあたって彬子女王はおそらくご自身がどのような点で一般の人と異なるかということを客観的によくわかっていらっしゃるように思えました。その上で、一つ一つのエピソードが面白く魅力的に表現されている体験記でした。今年はTVでご本人が実際にお話しされている姿を見て、話し方や佇まいの優雅な様に感銘を受けた次第です。
こうして二つを比較すると、偶然にも境遇としては天と地のような差がある作品からそれぞれに勇気をもらっているのがなんだか不思議ですが、共通するのは女性の生き方です。読書を通して私は今生の自分では体験できなかったことを味わうことができるという感覚があります。今年、特に印象に残った二つの作品を通して自分の生き方に向き合っていきたいと思いました。