北海道から牛乳を運ぶ船①
初めまして、こんにちは。ヨッシー宙船(そらふね)です。
北海道に住む中年で、旅行が大好きです。20代から40代まで海運会社にいました。
今回は海運会社で関わった、北海道産の牛乳がどのように道外へ運ばれるか、取り上げます。「牛乳を運ぶ船」のパンフについて解説します。
1.ホクレンとほくれん丸
北海道といえば広大な大地、酪農が盛んな地域です。全国の原乳の約54%を生産(2018年)。うち飲用牛乳の約8割は道外へ輸送。一方道外の酪農家が減り、原乳の生産量は減っているので、道外の人が飲む牛乳を北海道から輸送する量は徐々に増えています。
北海道から道外へ牛乳を運ぶ手段は、鉄道コンテナもわずかにありますが、ほとんどは牛乳を積んだトラックを船に乗せて運んでいます。使われるのはカーフェリーやRORO船と呼ばれる車両を積み込める船舶です。
北海道の農業協同組合をまとめる組織として有名なのがホクレン。本州への農産物の輸送で大きな影響力を持ちます。カーフェリーやRORO船の運航会社にとって大のお得意様です。
中でもホクレンの名前が付く船が、北海道(釧路港)ー関東(茨城県日立港)を結んでいます。
「ほくれん丸」「第2ほくれん丸(写真・日本農業新聞HPより借用)」です。船のスロープ上にあるのが生乳が積まれたタンクローリー。ローリーの内部は大きな魔法瓶になっていて、電源を使わなくても保温された状態です。運休時を除き、毎日牛乳タンクが40台以上乗船しています。
船名はホクレンの名前が入っていますが、運航会社は川崎近海汽船という会社。大手外航海運会社の川崎汽船の子会社です。ホクレンの牛乳タンク以外の車両も運んでいます。
北海道東部の拠点・釧路と関東を結んでいるので、牛乳・乳製品だけでなく道東で獲れた水産物、木材なども輸送。反対に関東からは空になったタンクローリー、関東で積み込まれた道東向けの工業製品、食品などを運んでいます。
2.船に乗るタンクローリーについて
船内(写真は農業新聞より)はこのような形でタンクローリーが積み込まれます。積まれるタンク車のほとんどは、けん引する車両(トラクターヘッドと言います)の後ろに連結されます。船内は狭く、入り組んでいるので、多くは熟練した専属の運転手が乗下船作業を担当します。
なお丸で囲んだ所は船内事故防止のため、トレーラーの先頭部分に載せる架台です。また船内ではワイヤーなどを使って、車両を固縛します。
トラクターヘッドとトレーラーがつながれた状態は上記の写真(新日本海フェリーHPより借用)の通りです。
トラクターヘッド(写真)とタンクローリーに分かれます。黄色丸の箇所にタンクローリーのピンをはめ込み、赤丸のロックが作動して鍵がかかります。外す時は赤丸のロックを引いて鍵を解除します。
トラクターヘッドが外れた時のローリーは車両が前に落ちないよう、脚(写真)を降ろします。写真にあるハンドルを回せば脚を降ろしたり上げたりすることが出来ます。逆にトラクターヘッドが接続した状態の時は、脚を上げないと地面に脚がぶつかって危険です。
ここまでご覧くださり、ありがとうございました。次回は牛乳タンクローリーが乗る船と航路についてです。
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