こちら側のカシミヤ
カシミヤ。Sud.でもやらせてください。”こちら側のカシミヤ”
梳毛ブリブリシリーズに、待ったをかけるように、ブルゾンデリバリーに食い気味にデリバリーされたのが、ドーターのこのカシミヤです。ファーに強撚、色々なドーターのカシミヤが既に靭本店に並ぶ中、個人的に昨シーズンかなり惹かれたカシミヤが。名前は「AGED CASHMERE / エイジドカシミヤ」。
その名の通り、着込んで、育ったカシミヤを目指したもの。綿とかウールとか、その類でそのアプローチを見かけた事は少なからずありますが、カシミヤでのこのアプローチは前代未聞。昨シーズンに出た新アプローチとしてかなり多くの方々を沸かせていました。
買ってすぐ、手にした状態から完成系に近い、その上でここから着て洗ってを繰り返す事で、さらにフワッと起毛して素材のかさを増して、カシミヤ素材自体の膨らみも増す。
そう、なんだかテンションの上がる、一目で分かる状態がとても良い、長年受け継がれてきたであろうカシミヤセーターをたまたま古着屋で見つけた、あの高揚感と同じ感覚で見ていただけます。
「カシミヤの奴隷」
なんて言葉が飛び交う程、カシミヤの憑りつかれた人で溢れる靭本店。新宅さんも間違いなくその一人であると豪語出来る程のカシミヤラインナップ。靭の店頭に行けばカシミヤの多さに驚愕する事でしょう。(憑りつかれているかのように、この季節はよく着てはります。)
そんな靭をメインにおいているMusterWerkではありますが、今シーズンのエイジドカシミヤはSud.にて展開させていただきます。
「カシミヤの奴隷」とは、幾度と重なるセーターの購入や着用、並びにそんな経験から培った審美眼をお持ちの方々から生まれた言葉。その人たちに当たり前のようにカシミヤ奥深くの底の方を提案するのは、きっと新宅さんの仕事でしょう。
そこの靭とは切り離し、Sud.をこよなく愛してくれている方々にとって、今年が今まで以上に素敵な冬と体感してもらう上で、
何かの強いキッカケとなってもらえないか、
そこに強い感動を埋めるアイテムなのではないか、
そんな僕の熱のこもった思いから、僕が一番気に入った「エイジドカシミヤシリーズ」のみ、Sud.にて本気の展開をさせていただく流れとなりました。
本気で届けたい、まるで長く愛されたかのようなカシミヤセーター。エイジドカシミヤじゃなきゃいけない理由があります。
糸はイタリアのもの。やはりイタリアのこの類の糸は本当に素敵な色です。他と比較で出せない素晴らしく、そして美しい発色。もちろんのこと某メゾンも使うあれ。触ると明らかに違いに気付くし、やはり色彩感覚が素晴らしく、この発色と絶妙な色目で、真似できない技です。
ハイゲージ用の糸をミドルゲージの仕掛けに応用して制作されたのがこちらです。締まるところがしまって、余白が欲しいところにはそれがある、メリハリのしっかりした贅沢カシミヤセーター。ジャケットのインナーやブルゾンなど、今期の大物の中には大概スッと当たり前のように決まってくれる。あの変なハイゲージ系ののビタビタ感はなく、ミドルゲージセーターとハイゲージセーターの良いところを全部取っちゃったような、言わば夢のような仕上がりです。ジャケット含めて、羽織系のトレンドがややコンパクトめに寄ってくる中、一番強い冬の武器を手にしたような感覚で使ってもらえる、機能面も、利便性も、何と比べても申し分のないクオリティ。
極細カシミヤを通常よりも甘く編み立てておりますが、特殊なエイジング加工を行うことで、甘く編み立てた隙間を、吹いたカシミヤが埋めて、膨らみをもたらす為、保温性と形状の安定性が高いにも関わらず驚く程軽いです。それこそ靭で展開している同型のシルクシリーズよりも下手すりゃ軽さを覚える程、それくらいに軽さを感じられるアイテム。素晴らしい。
そしていつもの設計です。リブは丁寧かつハイクオリティなホールガーメント仕様なので、冬のセーター系でよく感じる、縫い代が肌にあたるあの不快感やごわつき感はもちろんない。異常すぎる快適さで、日常に色どりをくれる。
各リブは少し長めで、クラシックセーターな設計。袖口のレイヤードがメインになりながら、一枚で考えても、軽く綺麗に折り返しても良い。それこそ捲ってしっかりブラウジングさせたり、ルーズに伸ばして袖口に溜まりを持たせても良い。何でも効用を持つ発色の良さ、そして設計が全てを活かしてくれています。
前回の最強の梳毛シリーズに次いで、こちらもいつもの"size10"。本気で計算され尽くした、究極のメンズフリーサイズです。本当にこれまた自分のサイズなのではないか、と様々な体格の方々が感じられるハイクオリティ。
「10」という数字の大きさから連想されるややリラックス感のあるシルエット、とは言え過度なオーバーサイズではなく、少しの余白感や抜け感のあるサイジング。160cm代の細身男性や女性から180cm代前半の方までカバーする、ドーターパターンの真骨頂。秋冬というより重くなるシーズンだからこそ、カシミヤをお試しいただきたい。この機会がキッカケに、新しいファッションを切り開いて欲しい。そんな思いにも沿ってくれているサイズ10はもはやSud.のためなんじゃないかと思うくらいですね、はい。
実はエイジドカシミヤを、よりデイリーに、そしてより長く沢山感じて欲しくて、「最高のエイジドカシミヤ別注」も今後入荷します。アパレル(洋服)はインラインで素晴らしいアイテムが出そろっているので、今回作らせていただいたものは今までになかった「エイジドカシミヤ冬小物」です。
ドーターとしても初の試みとなる、大変貴重な機会をいただきました。
こちらも併せて、乞おうご期待くださいませ。
ひとまず週末から始まる「ポスプロ受注会」にあわせて、このセーターたちも宜しくです。
イシカワ