オーネット・コールマンのレコード 11 「クロイドン・コンサート」 The recordings of Ornette Coleman No.11 "An Evening with Ornate Coleman"
Tracklist
A Sounds And Forms For Wind Quintet - Movements 1-10 24:48
B1 Sadness 3:33
B2 Clergyman's Dream 12:15
C1 Falling Stars 8:54
C2 Silence 9:13
D1 Happy Fool 7:11
D2 Ballad 5:19
D3 Doughnuts 6:10
Credits
Alto Saxophone, Violin, Trumpet, Written-By – Ornette Coleman
Double Bass – David Izenzon
Percussion – Charles Moffett
Producer – Alan Bates
Recorded By – Olympic Sound Studios
Notes
Recorded: "Fairfield Hall", Croydon, England, August 29, 1965
通称「クロイドン・コンサート」と言われている2枚組。
渡欧直後8月にロンドン郊外で行われたコンサートのライブ録音で、詳細は他に譲がイギリス特有の事情があって、コンサートはこのアルバムのA面全てを占める五重奏団によるオーネット作曲のアンサンブル曲で始まる。途中上昇するイメージ、下降するイメージを織り交ぜながら、対位法的に展開する複数のメロディーが折り重なる10楽章からなるこの曲は、このコンサートを成立させるために急遽書かれたものであるという。タウン・ホールのコンサートにも四重奏が登場、前作「チャパカ組曲」では11人のアンサンブルを採用と、続けて、弦やウィンドのアンサンブルに曲やアレンジを描き下ろすことになったのだが、オーネット自身も譜面を書くことに楽しみを見出していたのだろうと思う。
さて、B面からトリオの演奏となる。「タウン・ホール」の折にも書いたがB1の"Sadness"のアルトが広いホールに響き渡る様子が素晴らしい。これは3分ほどの演奏だが、それに続くオーディエンスの拍手で、彼らがすっかりオーネットのアルトの音に魅了された様子が伝わってくる。
C1ではヴァイオリンとトランペットが登場。特にヴァイオリンはカッコイイ。こんな風にヴァイオリンを演奏してくれるのはオーネットぐらいのものだ。C2"Silence"はその名の通り長めのブレークが何度も入るライブならではの曲。途中「チェロキー」のメロディーを引用すると、観客が湧く。オーネットがこのようなことをすると、その後の展開を聴いていくに、このような「著名なメロディーとは何なのだろう?」という問いが立ってくるから不思議だ。
D面もハイ・トーンの美しい曲が2曲続き、ラストは「タウン・ホール62」では冒頭に置かれた"Doughnuts"。この曲は"Golden Circle"のCDではボーナストラックとして追加されている様子で、このツアーを通じて演奏されていたのだろうことがわかる。
さて、このアルバムであるがイギリスで67年日本で68年の発売、アメリカでは75年に"The Great London Concert"というタイトルで発売されている。いずれも録音後しばらく寝かせた後の発売であるが、時代が合ってきたのであろう、日本では「第二回スウィングジャーナル・ジャズ・ディスク大賞金賞受賞」だそうだ。
個人的にはオーネットのトーンの広がりは良いし、観客のリアクションも良いのだが、ベースがオフ気味であるのと、やはり、広いホールのホール・トーンが邪魔に感じられるところがある。熱が低めの感じと言ったら良いだろうか?であるから、良いところはあるのだが、あまり聴かない盤である。