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フランク・ライト "Frank Wright Trio"
Tracklist
A1The EarthA2JerryBThe Moon
Credit
Tenor Saxophone, Composed By – Frank Wright
Bass – Henry Grimes
Drums – Tom Price
Engineer – Richard L. Alderson*
Recorded on November 11, 1965 in NYC.
フランク・ライトのデビュー・アルバムで、ワンホーンのトリオもの。フランク・ライトはクリーブランドでアルバート・アイラーやボビー・フュー(p)と出会い、アイラーの影響でベースからテナーに転身したのだという。そもそものきっかけがアイラーであるから、アイラー派というべきスタイルではあるのだが、よりワイルドで一本気な、そして常に「自分が次の瞬間どのような"音"として実存するか」に賭けているといった態度のパフォーマンスをする。
ぼくは、フランスに渡った後のフランク・ライトの作品群を聴いて、そのあり方に感化され、遡ってこのESP盤に至った経緯がある。なんと言っても初リーダー作。(ESPのバーナード・ストールマンはコルトレーンとのセッションを観ててライトに声をかけたとのことである)しかもワン・ホーンものでベースがヘンリー・グライムス。であるから随分期待して聴いたのだがどうにも空回り感がある。ライトはとにかく熱演しようとするのだが、他のメンバーとのインター・プレイが上手く行っていない感じがするのである。何かが足りない、と原因を考えると、ドラムの問題が大きいという結論に至る。
ドラムのトム・プライスはヘンリー・グライムスのESP盤の他、パティー・ウォーターズやバートン・グリーンのESP盤にも参加しているドラマーであるのだが、ライトとの組み合わせはどうもいただけない。どうも熱量が足りないのである。それが原因で失速しているように感じる。そう思うのはライトのESP盤でも次作の"Your Prayer"がたいへん熱量の高い作品で、どうしてもそれと比べることになるからと思う。"Your Prayer"のドラムがラシッド・アリの弟、モハメド・アリ。要するにこのアルバムにはモハメド・アリが足りないという結論になる。
アリとライトは69年にフランスに渡り"The Center of the World"として80年代半ばまで活動を続ける。そのあたりは"Your Prayer"も取り上げるつもりなので、そこで書きたいと思う。
ただ「フランク・ライトのファン」としては初リーダー作は外せないわけで、しかもワンホーンということで、「本当にこのアルバムはイマイチなのか?」と、時々引っ張り出して聴き直してみてはいる…悪くはない..のだが。