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アルバート・アイラー6 「ラヴ・クライ」 "Love Cry" Albert Ayler
Tracklist
A1 Love Cry 3:53 A2 Ghosts 2:46 A3 Omega 3:15 A4 Dancing Flowers 2:19 A5 Bells 3:08 A6 Love Flower 3:31 B1 Zion Hill 6:07 B2 Universal Indians
Credit
Tenor Saxophone, Voice – Albert Ayler
Trumpet – Donald Ayler
Bass – Alan Silva
Drums – Milford Graves
Harpsichord – Call Cobbs
Engineer – Bob Arnold Producer – Bob Thiele
Recorded August 31, 1967 & February 13, 1968
コルトレーンが亡くなり、その後の模索が始まる時期の作品。A面が67年8月、B面が68年2月の録音である。
A面はここまでのアンセム風のメロディを持った楽曲の総まとめ、ベスト・ヒット風。曲数も7曲。途中にソロやブレークなしでメロディーを吹き切るといった風情のトラック集である。1曲目の「ホレホレハレハレ」系のアイラーのヴォーカルに面くらい、その後怒涛のヒット・パレード風アンセムの連続で一気に片面終わるといった感じだ。
B面は前作までにも通ずる構成の2曲。どちらが面白いかといえば、個人的にはB面であるが、曲想が新しい、といった新鮮さはない。B1は前作の"Our Prayer"の延長にあるワン・ホーンもの。B2が本作の目玉といえば、そうかもしれない。
アルバムの聴きどころはミルフォード・グレーブス(drs)とアラン・シルヴァ(b)、特にグレーブスのパーカッションということになると思う。が、B2に若干ある他は特にソロのスペースがあるわけではなく、グレーブスとシルヴァの形成するバック・グラウンドの上をアルバート、ドナルド、コブの上物が埋め尽くすといった感じだ。個人的にグレーブス好きであることもあるが、このアルバムの他との差異を探すと、グレーブスの参加というところに行き着く。
この後の展開を考えると、これがアイラーの最後のフリー・ジャズ風の作品ということになる。もちろんこの前の、アンセムを熱演するスタイルになって以降はフリー・ジャズという言葉がどうもそぐわないわけであるし、スピリチュアル・ジャズという分けの方がしっくりくる面があった。が、それでも敢えて使うとすると、ギリギリここまでと思う。
コルトレーン以降、例えばアーチー・シェップはアフリカン・アメリカン・ミュージックという定義の中、ジャズにとどまらずソウルやファンクの要素を取り入れたポピュラー・ミュージックを指向していったわけだが、アイラーもある意味その流れを指向したのだと思う。今から振り返ると、この"Love Cry"はその方向へ踏み出す、過渡期的な作品のように見える。