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セシル・テイラー9 「ザ・ジャズ・コンポーザーズ・オーケストラ」 "The Jazz Composer's Orchestra" Cecil Taylor
Tracklist
A1 Communications # 8 13:52 A2Communications # 9 8:08
B1Communications # 10 13:26 B2 Preview 3:23
C Communications # 11 Part 1 15:10 D Communications # 11 Part 2 17:47
Credits
Bass – Charlie Haden, Eddie Gomez, Reggie Workman, Ron Carter, Steve Swallow
Brass – Howard Johnson (3), Jimmy Knepper, Julius Watkins, Randy Brecker, Bob Northern*
Conductor – Michael Mantler
Cornet – Don Cherry
Drums – Andrew Cyrille, Beaver Harris
Guitar – Larry Coryell
Piano – Carla Bley, Cecil Taylor
Saxophone – Charles Davis (2), Frank Wess, Jimmy Lyons (2), Lew Tabackin, Steve Lacy
Saxophone [Tenor] – Gato Barbieri, Pharoah Sanders
Trombone – Roswell Rudd
Notes
Recorded January, May, June 1968, New York.
セシル・テイラーのスタジオ録音を中心にレヴューしていこうと考えると、66年"Conquistador!"の次の本人名義のスタジオ・アルバムは73年の来日時にイイノホールで録音した「Solo」ということになる。これはちょっと飛びすぎであるので、何か間を埋めるものは?と考えると、思いつくのがこの2枚組アルバムの2枚目ということになる。1枚まるまるのフィーチャリング・ソロ・アーティストであるため、本人名義に準づるものとして、ここにあげておこうと思う。
所謂「ジャズの10月革命」以降の流れの中で成立した、JCOAやマイケル・マントラー、カーラ・ブレイに関してはここで解説するには手に余るので触れないが、ミュージシャンによる自主組織が何かとゴタゴタするケースが多い中、少なくともここに参加したメンバーとこの時点では良い関係が維持されていたのであろう。このアルバムは「ジャズの10月革命」の一つの成果としてジャズ史の中に位置付けられ、特に今回取り上げる2枚目に関して評論家筋から高い評価を受けてきている。
ありきたりな表現だが「何か大きなエネルギーの塊が前進し続けるような音楽」「一つ音の塊の流転」といった感想をぼくは持つ。だが、セシル・テイラーのピアノに関してはどうもいつものキレがないように感じる。確かにオーケストラのエネルギーと摩擦を繰り返しながら、より大きなエネルギーを発散し続けるような全体イメージにはなっている。しかし、オーケストレーションは単調感があり、ホーンが消えたセシルのソロ・パートにしても目を見張るできとは言い難い。
このアルバムでは個人的には1枚目のB面が好みで、Roswell Ruddは彼の価値を十二分に伝える演奏となっているし、まるで怪獣映画の音楽のようなオーケストラのバッキングの中シャウトしまくる Pharoah Sandersは一聴の価値がある。
と、あまり良いことを書かなかったが、上記は現時点からセシル・テイラーの仕事としてこのアルバムを見た場合の個人的かつ正直な感想である。