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オーネット・コールマンのレコード07  「オーネット」    The recordings of Ornette Coleman No.07 "Ornette "


Tracklist
A1 W.R.U.16:25
A2 T. & T.4:35
B1 C. & D.13:10
B2 R.P.D.D.9:39

Credits

  • Alto Saxophone, Written-By – Ornette Coleman

  • Bass – Scott LaFaro

  • Drums – Ed Blackwell

  • Trumpet [Pocket] – Don Cherry

  • Engineer [Recording] – Tom Dowd

問題作「FREE JAZZ 」の2ヶ月後、ベースにスコット・ラファロを迎え録音された。61年の1月31日のセッションであるのだが、発売は62年、ラファロの死が61年の7月であるから、何かタイミングがあったのかもしれない。
ラファロといえばビル・エヴァンス・トリオでの仕事がポピュラーであり、フリー・ジャズのイメージは少ない。しかし59年12月の「ポートレート・イン・ジャズ」(エヴェンス)のセッション以降、亡くなるまでの主な仕事を見てみると、スタジオ録音は60年の4月の「ブッカーリトル」、12月の「フリー・ジャズ」のセッションそして、この「オーネット」のセッションとその2日後に行われた「エクスプロレーション」(エヴェンス)のセッションとなる。オーネット2枚、エヴァンス2枚、ブッカー・リトル1枚。
エヴァンスのイメージが際立つのは、61年の6月25日に録音された2枚の有名なライブ盤がここに加わることと、やはりそれらがモダン・ジャズの大名盤でありトリオによる「インタープレイ」なるスタイルのオリジナルであると見做されていることによるのだと思う。
突然の死がなければラファロはどうなっていったのか?当時マイルスからも誘われていたらしいし...ニュー・ジャズなるものがこの後盛り上がるわけであるが、そことの関わりはどうしたであろうか...など切りのない話になる。言えるのはフリーにも行けるポジションに若くしてあった、ということだろう。
前置きが長くなってしまったが、このアルバムでもラファロの心地よくドライブするベースが堪能できるし、それがこのカルテットによくハマっている。ただ、2日後のエヴァンスとのセッションでの「歌ごころ」溢れる演奏とはやはり随分趣を異にしており、テンポの似通った演奏が多いため、若干単調でもある。

ラファロに関しては「C. & D.」で長めのボウィングによるソロが聴ける。これはかなり珍しいのではないだろうか?ただ特に傑出したできだとか、そのような感想になる類の演奏ではない。
むしろこのアルバムでは「T. & T.」でのブラックウェルのソロが良い。これは後年ドン・チェリーとのセッションの中で頻出することになるアフリカ・ルーツのリズムで、90年代に入ってからのチェリーの「Multikulti」にまで登場するが、このセッションが初出ではないだろうか?

全体的に悪くはないのだが、若干煮詰まり気味で、さらにトム・ダウドが悪いのかアトランティックの当時の機材などの環境が悪いのか音もイマイチである。(所有しているオリジナルのモノラル盤の感想です。)


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