アーチー・シェップ 9 「ポエム・フォー・マルコム」 Archie Shepp – Poem For Malcom
Tracklist
A Mamarose • Poem For Malcolm 13:30
Bass – Alan Silva Drums – Claude Delcloo Piano – Burton Greene Tenor Saxophone, Voice – Archie Shepp Timpani – Philly Joe Jones
B Rain Forest • Oleo 19:50
Bass – Malachi Favors Drums – Philly Joe Jones* Piano – Vince Benedetti Tenor Saxophone – Hank Mobley Tenor Saxophone, Piano – Archie Shepp Trombone – Grachan Moncur III
Recorded August 14, 1969, Paris.
BYGからの一枚。
この時期フランスに多くのミュージシャンが渡り主にBYGとAmerica Recordsに録音をのこしている、シェップもそうなのだが、BYGでは本人のリーダー作以外にアラン・シルバ、グラシャン・モンカー3世、サニー・マレー、デイブ・バレル(Echoは好きなアルバムです)など、知り合いのリーダー作にも多く参加している。
なかでもこの"Poem For Malcom"は好きなアルバムだ。
A面は役者であり詩人であり劇作家であるところのシェップの本領発揮というか、自由にやっている感じがとても良い。内ジャケットの写真を見てもその様子が伝わってくる。
ニュー・ジャズ、フリー・ジャズなるものが、ミュージシャンごと、まるごとヨーロッパに渡り、アフリカ的なるものへの傾倒を深め、演奏の動機が一時的にではあるが呪術的、儀式的になった感がある。その傾向のピークがこの後数年と思うのであるが、本作はその中でも充実した作品と思う。
両面にフィリー・ジョー・ジョーンズが参加し好演しているが、B面にはなんとハンク・モーブレーが参加している。
B面は結構長尺のシェップのソロから入りそこにフィリー・ジョー・ジョーンズが絡んでくるのだが、シェップの演奏は何か一つ解放された感じがある。コルトレーンの死後、ヨーロッパの地で新境地が開けた風情である。上にも書いたが何か演奏する上で内的な動機が見えた上に、セッティングがしっくりいっている感じがある。
ジョーンズもこの世界に以外にもハマっていて熱演している姿が目に見える。グラシャン・モンカー3世も良い。ハンク・モーブレーに関してはオレオに入る前後から3管になるので、その辺で出てきているのがそうなのだろうと思うのだが、なんだかたまたま居合わせてしまい、なりゆきでチョロっと参加することになり、そのためにOleoをやることになった...といった風情で、クレジットだけで存在感はない。だが、聴く方はモーブレーが何をするのか聴こうとするわけだから、逆に存在感があったのだとも言える。
話は変わるが、シェップがスーツを着るのをやめて、アフリカ系の格好になったのは何年ぐらいからだろうか?66年のサンフランシスコのライブ盤のジャケはスーツ姿で、翌年の"Donaueschingen Musiktage"(67年10月のライブ)の盤の写真では民族衣装風に変わっている。コルトレーンは最後までステージではスーツ姿であったと思うが、彼の死後申し合わせたように多くがスーツをやめている。
ただ、ずーっとこの格好かというとそうではなく、しばらくしてまたスーツ姿に戻っている。ちなみにセシル・テイラーはイッセイ・ミヤケが好きだ。