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オーネット・コールマンのレコード 24 「ソングX」 "Song X" The recordings of Ornette Coleman 24

Tracklist
A1 Song X 5:36   A2 Mob Job 4:07   A3 Endangered Species 13:16
B1 Video Games 5:17   B2 Kathelin Gray 4:13   B3 Trigonometry 5:08   B4 Song X Duo 3:10   B5 Long Time No See 7:39

Companies, etc.
Recorded At – Power Station   Mastered At – Masterdisk

Credits

  • Alto Saxophone, Violin – Ornette Coleman

  • Bass – Charlie Haden

  • Composed By – O. Coleman*, P. Metheny* (tracks: A3, B2, to B4)

  • Drums – Jack DeJohnette

  • Drums, Percussion – Denardo Coleman

  • Guitar, Guitar Synthesizer [Guitar Synth], Producer – Pat Metheny

  • Engineer [Recording & Mixing] – Jan-Erik Kongshaug*

  • Producer [Production Assistant] – David Oakes, Niki Gatos

Notes
Recorded "live" December 12-14, 1985. This recording was recorded, mixed and mastered digitally.

"Song X"である。スタジオでのアルバムとしては「Of Human Feelings」の次に当たるのだが、前作が79年録音で本作は85年録音。この間プライム・タイムでのライブ盤が出ているが、スタジオ録音としては随分間があいたことになる。その上、本作は普通は共演アルバムとして位置づけられていて、オーネット・リーダー作というわけではない。さらに言うとわざわざスタジオ・ライブである旨が打ち出されている。

どうも、プライム・タイム関係はレコーディング作品としてのプロデュースが上手くいっていない例が多く、この後の「In All Languages」にしてもあまり手に取らない盤となっている。が、本作「SongX」はパット・メッセニーのおかげで作品としての充実度が久しぶりに高い。

これはパットの熱意と構成力に負うところが大きいのではないだろうか。それなりの準備と予算、良い設備と良いスタッフを揃え、万全の体制で臨んだようにみえる。実力があって熱量の高い人間がヴィジョンを持ってオーネットに対峙している様子が伝わってくる内容で、この作品を兎に角作りたかったのであろうパットのプロデューサーとしての力量が形になっている。
結果、サウンド・プロダクションも含め、全体に大変レベルの高い作品であると思う。エンジニアはECM作品でおなじみのJan-Erik Kongshaug。当時流行っていたニューヨークのパワー・ステーションでの録音とのこと。(ぼくも流行りに乗っていたのか、80年代の終わりにミックス・ダウンで行ったことがある。)

アルバム1枚を完璧に構成できたか?というとB2-B4あたりが若干緩めであるのだが、構成的には問題を感じないし、なにしろ他が素晴らしい。特にA面は文句のないできだ。テーマでいわばドン・チェリーのように、オーネットとユニゾンするパット。そもそも、ギターとアルトのユニゾンを聴くこと自体が少ない中、ギターのトーンもホーン・ライクなトーンで、よくよく選んであり、独特のシンクロ感がで面白い効果を生んでいる。

さらにオーネットがフロントとなる場面ではその背景を埋め尽くすように弾くパットの在り方が面白い。これはプライム・タイム的な各々が好きにやっているという感じではなく、音空間を的確かつ効果的に作り出しており、パットのプロデューサーとしてのこの作品に対するヴィジョンが伝わってくる。

ぼくはパット・メセニーを積極的に聴くほうではなく、持っているレコードはこれと、ライヒの「エレクトリック・カウンター・ポイント」のみ。普段どのようなプレイなのかほとんど知識がない。であるから普段どのようなトーンを選んでいて、使っているギターは何で、エフェクターはどのようなのか?などに関しては知識がないが、この作品を通してプロデュース能力も含めたその力量に感心することとなった。音楽的な探究心が強い人なのだと思う。

他のメンバーに関してだが、やはりヘイデンは重要な役割を果たしているのだと思う。両者を知っていることで、的確につなぎ役を果たしたであろうことは、作品の出来から良くわかる。さらいプライム・タイムのジャマルディーンの悪く言えば子供っぽい過剰なベースに比し、ぐっと大人な落ち着きをプロダクションに与えている。

ジャック・デジョネットとデナードがどういう役割分担なのか、不明な点も多いが、録音の良さもあってシンバルが気持ちよく冴えている。さらに、ドラムの空間が良く表現された録音となっていて、他の楽器とのバランスも適切で、聴いていて不足がない。マルチ・マイク、マルチ・トラックの良さが出た録音ではないだろうか?

「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」以降、どうもウェル・メイド感のないオーネットの作品群の中で、この作品は久々に良いできとなったと思う。パット・メセニーの熱意+プロデュース力の賜物と思う。


*(http://hepcat1950.com/pmiv86cm.html)にこの作品に関してのパット・メセニーのインタビューがあり、ほとんどローランドのギターシンセを弾いていたこと、3週間半毎日7時間オーネットとリハをした後に他のメンバーが入り、このセッションとなったこと、etc..がわかります。


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