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エリック・ドルフィーのアルバム①  「アウトワード・バウンド」 エリック・ドルフィー  Eric Dolphy Quintet ‎– Outward Bound


エリック・ドルフィーのリーダー1作目。ドルフィーは3枚のスタジオ録音をNew Jazzに残しているが、どれもロイ・ヘインズがドラムであることが共通で、ピアノレスの"Out There"以外はジャキ・バイアドがピアノである。(ご存知のように、もう一枚ロン・カーターのリーダー作であったものを後にドルフィー名義のようにした"Where?" があるが、それはさすがにドルフィーとするには無理があるのでここでは数に入れない。)

本作はジョージ・タッカーがベースであることとフレディー・ハーバードが参加していることが他と違う。と言っても他が2枚でなので、ことさら言い立てることでもないのだが、ジョージ・タッカーは65年に亡くなっていて、他にウォルト・ディッカーソンやホレス・パーラン、テッド・カーソン˜で聴くことができるにしても、数が多いとは言えないので、つい書くことになる。

ディカーソンの"To My Queen"での演奏が録音が良いこともあって、特に印象的なのだが、今回はちょっと遠い感じで録音されていて、タッカーを聴こう(そんな人は希少と思うが)とすると不満が残る。一方、フレディー・ハーバーどの方はとても良い。ハーバードはこのメンバーの中で一世代若くドルフィーよりも10歳若い。若いにもかかわらず既にブルー・ノートにリーダー作を録音しており、且つ、オーネットの「フリー・ジャズ」に参加、コルトレーンの「オレ」に参加、そしてこのセッションと、ひっぱりだこで勢いに溢れている。その勢いが存分にここで発揮されていると思う。

内容はドルフィーがアルトを演奏するオリジナルの3曲がとても良い。内"G.W."と"Les"は西海岸出身のドルフィーがその時代に世話になったアーティストに因んだ曲とのことで、デビュー・リーダー作らしい。両曲ともバップ色が濃く"G.W."ではそれぞれの長めのソロが聴けるし、"Les"ではドルフィーとハーバードの掛け合いもあり、エンディングもひと工夫ある。

"245"はドルフィーがニューヨークで住むことになった番地が名前の由来だそうだが、好感の持てるブルースだ。途中バイヤドのソロ部分でピアノ・トリオになるのだが、このリズム・セクションのブルージーな良さが良く出ている。もちろんドルフィーのソロも素晴らしく、アルバム中のオススメである。

フルートを吹くスタンダードのB2も良い。ドルフィーはメロディーを大変丹念に吹くがそれが、続いての飛翔感のある自由なソロを際立たせ、とても良い。

A2のグリーン・ドルフィン・ストリートは悪いとは言わないが、やる必要もなかった感じがある。

B3の"Miss Toni"はバスクラリネットでビバップといった感じでドルフィーの演奏以外はとてもオーソドックスである。特にハーバードのソロになるとまさにといった感じで後半にはヘインズとタッカーの掛け合いがあり50年代に戻ったようだ。
3枚の比較で言うと"Far Cry"に類似し、全体にバップ色がある。この3枚は全て60年に録音されていて、その段階でドルフィーのプレイにパーカー色がかなり分かり易い形で残っていたとも言えるし、ピアノ入りであるということで強調された面もあると思う。オーネットにしてもピアノ入りの1枚目はビバップに聴こえたものだ。
録音はヴァン・ゲルダーで、ホーン の艶やかさは相変わらず。少なくともヴァン・ゲルダー・カッティングの盤で聴きたいところだ。


Tracklist

A1G.W.7:54
A2Green Dolphin Street Written-By – Kaper*, Washington*5:42
A3Les5:11
B12456:48
B2Glad To Be Unhappy Written-By – Rodgers-Hart* 5:26
B3Miss Toni Written-By – Charles Greenlee 5:40

Companies, etc.

  • Recorded At – Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey

  • Lacquer Cut At – Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey

Credits

  • Alto Saxophone, Flute, Bass Clarinet – Eric Dolphy

  • Bass – George Tucker

  • Drums – Roy Haynes

  • Engineer [Recording] – Rudy Van Gelder

  • Piano – Jackie Byard*

  • Trumpet – Freddie Hubbard

  • Written-By – Dolphy* (tracks: A1, A3, B1)

Notes

Recorded in Englewood Cliffs, NJ; April 1, 1960


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