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カール・ベルガー 「フロム・ナウ・オン」 "From Now On" Karl Berger
Tracklist
A1 Scales 6:35 A2 Turn Around 4:15 A3 Steps 5:35
B1 Blue Early Bird 4:45 B2Like That 5:10 B3 Greenbird 6:40 B4 From Now On 5:15
Credits
Alto Saxophone – Carlos Ward
Bass – Henry Grimes
Composed By, Vibraphone – Karl H. Berger*
Drums – Edward Blackwell*
Vibraphone – Karl Berger
Recorded December, 1966.
67年発売のカール・ベルガーの初リーダー作である。
リズムのエド・ブラックウェル(Drs)とヘンリー・グライムス(Bass)の組み合わせは、ドン・チェリーのブルー・ノートでの諸作と同じだが、ベルガーはこのレコーディングの数ヶ月前にチェリーの「Symphony for Improvisers」に参加していて、その流れがあったのだと思う。
また、ベルガーはこの12月の6日、7日にアレクサンダー・フォン・シュリッペン バッハの「Globe Unity」にも参加している。どちらも個人的な愛聴盤だ。
特に「Symphony for Improvisers」におけるベルガーのソロ部分でのブラックウェル、グライムスとのインタープレイはリズムに優れ、なかなかスリリングなものであった。そのスリリングさをこのアルバムでも存分に聴くことができる。
カール・ベルガーはピアノも弾く(「Symphony for Improvisers」のB1の冒頭でそのピアノを聴くことができる)のだが、このアルバムではVib一本。大変な集中力で素晴らしい演奏を聴かせる。歌いながら演奏しており、その声がずーっと聴こえているのもこの人の人柄が見えてくるようで楽しい。
上述のインタープレイは特にB面の中盤が素晴らしく、テンポ・アップした時の集中したリズムのやりとりが良い。ここにVibという、半ば打楽器の性格がよく出ており、ブラックウェル、グライムスとのやりとりは、ベルガーの非凡さを余すところなく表現している。
アルトのカルロス・ワードは、ドン・チェリーやダラー・ブランドとの共演で知られるが、ジミー・ライオンズが亡くなった直後にセシル・テイラーのグループに参加し、数枚のライブ盤が残っている。個人的にはワードの方がライオンズよりも好みだ。彼のフレーズはドルフィーをベースにしていることが感じ取れる理知的なものだが、独特の個性がそこに付加されていて好感が持てる。
本作品でもなかなかの好演で、欲を言えばリズム面でのキレがもっとあると他3人との絡み合いがさらに面白くなったと感じる。
録音面では、ドラムとベースが随分オフに録れていることと、チャンネルのわけが極端で、左にベルガーとワード、右にリズムの2人となっいていること、が不満点となる。ベルガーとワードは反対に随分オンに録れていて、バランスが悪い。もう少しシンバルが綺麗に録れてれば随分印象が良いのだがと思う部分もあり、少し残念だ。
本作はESPの諸作の中ではあまり見かけないタイトルで他社からの再発もない。CDにもなっていないようである。であるからネットの時代になるまでアナログ盤以外で中身が聴けなかったわけであるが、現在はネットに上がっている。便利な時代になったものだ。