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エリック・ドルフィーのアルバム③ 「ファー・クライ」 エリック・ドルフィー        Eric Dolphy With Booker Little ‎– Far Cry 

これがドルフィーのNew Jazzでの最後のスタジオ録音になるわけだが、3枚全て60年に録音されている。であるから、音楽の発展段階をキャプチャーしているというよりは、そこまでにすでにあったアイデアで録音して行ったと考えるのが妥当であろう。
そして最後の一枚はチャーリー・パーカーへのトリビュートである。もちろんスタジオ録音がこの録音で最後になるという契約であったのかは僕にはわからないが、3枚録音する契約であったのだとすれば、当時のドルフィーとしてこれをやっておくのは希望としてあったのだろうことは理解できる。
チャーリー・パーカーを起点にバップ以降のアルトの系譜を考える時、パーカー→ドルフィーというのがぼくの頭にすぐに浮かぶ系譜である。パーカー→オーネットとはなかなかつながらないのだが、ドルフィーは特にそのリズムのあり方、譜割のあり方にどうしようもなくパーカーを感じるのである。
このあたりは、パーカー・ファンには分かりやすいと思うのだがいかがでしょうか?
アルバム的には特にA面がパーカー・トリビュート色が濃く、B面はマル・ウォルドロンの"Left Alone"が入っていたり"Tenderly"をやっていたりで若干趣を異にする。
メンバー的にはジャキ・バイヤード、ロイ・ヘインズ、ロン・カーターと前作、前前作からのメンバーにブッカー・リトルが加わっているところがこのアルバムの目玉となっていて、ぼくの持っているプレスティッジの再発盤のライナーはそこを強調している。
ご存知のようにリトルは61年に亡くなるわけであるが、亡くなる数ヶ月前のドルフィーとのFive Spotでのライブが現在は4枚に分かれてプレスティッジから発売されている。ドルフィーのレコーディングも貴重だがリトルのレコーディングはさらに少なく、その少ない中にドルフィーとの共演が本人名義のスタジオ盤+この盤+Five Spotのライブ*4枚がある。
であるからリトルというとドルフィーの共演者的なイメージが強く、ドルフィーとレギュラーでグループを組んでいたように見てしまいがちだが、よくよく見てみるとFive Spotのグループはどうもショットで組まれている様子で、レギュラー・グループ化しそうには当時の時系列をみると思われない。
と、書いたが、この2人の共演が素晴らしくないのだと言っている訳ではない。ただ、リトルが生き延びてもフリーには行かなかったのではないか?と思う反面ドルフィーはなにしろセシル・テイラーと共演したかったわけだから、どうも2人は志向性が随分異なるのではないか?と考える次第である。
と、推測ベースで取り留めのない話しになってしまったが、2人の共演が聴ける貴重な作品である上に、ドルフィーのパーカーへのトリビュート盤であるのだから、貴重なレコーディングであるが、オススメ度合いとしては1枚目の"Outward Bound"と同程度といったところだ。

Tracklist
A1 Mrs. Parker Of K.C. Written-By – Jaki Byard 8:00
A2 Ode To Charlie Parker Written-By – Jaki Byard 8:45
A3 Far Cry Written-By – Eric Dolphy 3:50
B1 Miss Ann Written-By – Eric Dolphy 4:15
B2 Left Alone Written-By – Mal Waldron 6:40
B3 Tenderly Written-By – Lawrence*, Gross* 4:15
B4 It's Magic Written-By – Cahn/Styne* 5:35

Companies, etc.

Credits

Notes

Recorded: Dec. 21, 1960


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