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"Visions" Walt Dickerson & Sun Ra 「ヴィジョンズ」 ウォルト・ディッカーソン & サン・ラ
Tracklist
A1 Astro 7:50 A2 Utopia 8:10 A3 Visions 2:50
B1 Constructive Neutrons 10:10 B2 Space Dance 8:10
Credits
Piano – Sun Ra
Vibraphone, Composed By – Walt Dickerson
Producer, Photography By – Nils Winther
Recorded By – F. Hansson*
Recorded 11 July, 1978.
この組み合わせでどのようなことになるのか?というのがこのアルバムの興味の中心であるのだが、結果、この近辺のスティープル・チェイスから出ているディカーソンものの中で一番ポピュラーというか、アピールのある内容となっていると思う。
原因に、他のアルバムがディッカーソンのソロ中心であるのに対して、ここではサン・ラのソロ・パートがまあまあの分量あり、且つ、それがディッカーソンに寄った静謐で美しい、響きを重視した演奏になっていることがあげられる。
とはいってもサン・ラの特徴が死んでいるわけではない。ディッカーソンの世界と上手く共存していて、且つそれなりにサン・ラなのである。A1のソロは大変美しくもサン・ラ的であるし、A2の多分ピアノの中を叩いているまたは、プリペアード・ピアノ系の工夫がされている演奏などはディッカーソンの世界に寄り添いながらも、他の共演者では得られないような音楽的拡大が行われていて、流石と思わせる内容だ。
A3もピアノとヴァイヴの共演らしい内容で、音域の工夫がなされていて、ヴァイブとかぶる音域のピアノ演奏とそうでない音域のピアノ演奏のバランスと使い分けがとても良い。
B1はディッカーソンのソロからサン・ラのソロと続きラストでデュオとなるが、ディッカーソンに12音的な音の選びを感じる部分がある中、サン・ラはもうケニー・ドリューか何かのような、印象派風の演奏である。最後のB2はデュオで、対話的で且つ絡み合いの面白さもある内容となっている。
押し並べてサン・ラがディカーソンの世界に上手く寄り添いながらも、それなりにユニークさも発揮しており、さらに音楽への高い集中を感じる演奏で、気持ちよく聴ける一枚となっている。