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「アセンション」 インパルスのコルトレーン 6  John Coltrane on Impulse 6 "Ascention"

さて「アセンション」である。「昇天」である。
わかりやすいテーマのもと今となっては豪華メンバーとしか言いようのないメンツが結束し、順番にソロを取るという、わかりやすい構成を持つ。が、苦手な人が多いらしい。
僕の持っているのはEdition2で、これが1stテイクで、コルトレーンのお墨付きバージョン。何故かEdition1が先にリリースされ、数ヶ月後にEdition2に差し代わったという経緯があるのだが、そのあたりの詳しい経緯は僕にはわからない。
このレコーディングは所謂「集団即興演奏」ものの最初期のものに当たると思う。wikiによると、これ以前にはオーネットの所謂ダブルカルテットもの「FREE JAZZ」が編成の大きな即興演奏の例となるのだが、後に盛んになる「集団即興演奏」とは随分趣が異なる。やはり「Ascention」を「集団即興演奏」のレコードの始まりとみなす方が妥当と思う。
この後、「ESP」やフランスの「BYG」などで盛んに録音されることになるこの手の演奏であるが、中にあってこの「アセンション」は構成がハッキリしており、「A Love Supreme」的なモチーフの提示が最初にあったりで、聴きやすい方かと思う。また、ソリストがハッキリしたスペースを与えられていて、個々ソリストの演奏を聴く楽しみもある。
ソリストも充実のライン・アップである。
ということで、楽しむには、以下wikiから引用であるが、ソリストのオーダー表を見ながら聴くのがおすすめ。

  1. (Opening Ensemble)

  2. Coltrane solo (3:10–5:48)

  3. (Ensemble)

  4. Johnson solo (7:45–9:30)

  5. (Ensemble)

  6. Sanders solo (11:55–14:25)

  7. (Ensemble)

  8. Hubbard solo (15:40–17:40)

  9. (Ensemble)

  10. Tchicai solo (18:50–20:00)

  11. (Ensemble)

  12. Shepp solo (21:10–24:10)

  13. (Ensemble)

  14. Brown solo (25:10–27:16)

  15. (Ensemble)

  16. Tyner solo (29:55–33:26)

  17. Davis and Garrison duet (33:26–35:50)

  18. (Concluding Ensemble)

上述したように、オープニングで「A Love Supreme」的なモチーフの提示があり、アンサンブルに雪崩れ込むのだが、この頭でのモチーフの提示は後の集団即興演奏にも多く例が見られる。そしてまずは御大、コルトレーンのソロ。この後上記の順番で、アンサンブル⇆ソロの応酬となる。
中でも文句なくカッコイイのがファラオ・サンダース。そのシャウトぶりはこの中にあって図抜けた存在感である。サンダーズは後に「Meditation」のB面でこれを凌駕する最高のシャウトを披露するがその片鱗がここで見られる。アーチー・シェップもファラオと比すと霞む感はあるが、なかなかだ。
アルトは後半に出てくるマリオン・ブラウンのソロがなかなか良い。トランペットではサンダース後のフレディー・ハーバートが凛々しくて良いが... と言う具合に聴いてゆく楽しみがあり、まず、集団即興演奏慣れするには入門的アルバムではないかと思う。
最後はホーンが消えてなくなりマッコイ+2ベース&エルヴィンというお馴染みの演奏で一息後、2人のベーシストによるデュエット。一方がボーイングというのが心地よい。そこにエルヴィンが登場後、再度アンサンブルへ突入。しばしのカオスの中からオープニングのモチーフが登場し、終結。
これを敬遠する向きは多いと思うが、繰り返しになるが、「昇天」というわかりやすいテーマのもと、整理された構成を持ち、聴きどころ満載。有名どころのソロが順番に入るので、山あり谷あり感ありで、飽きることもない。苦手と思っている方々も一度、聴き直してみてはどうでしょう?
コルトレーンはこの演奏に関して「ビッグ・バンドもの」であるとコメントしたとされる。
つづく。


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