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ファラオ・サンダースのレコード⑦ ファラオ・サンダース 「ブラック・ユニティー」  Pharoah Sanders ‎– Black Unity 

3管、2ベース、2ドラムス、1パーカッション、1ピアノと大編成で両面1曲。
ファラオの言う"Black Unity"とは多分にスピリチュアルな意味合いを含んでおり、「クリエーターとすべての黒人との"Oneness"がサンダースの音楽のテーマである」旨が内ジャケットのThembi Sandersのコメントで語られている。
71年といえば"What's Going On"やスライの"There's a Riot Goin' On"が発売された時期で、ブラック・ミュージックの範疇でポップ・アーティストが世相を背景にしたメッセージ性の高いアルバムを制作した年代である。翌年にはArchie Sheppの"Attica Blues"が続く。
その中にあって、大変扇情的なタイトルを持った本作品は、どちらかというと「スピリチュアルなユニティー」を掲げている様子で、実際の情勢にダイレクトに関与するそぶりは見せていない。このあたりファラオのポジションはどのようなものであったのだろうか?
表現された音楽はファラオの今までの作品の延長線上で、激しいブロウも背景に上手くミックスされ全体として、熱量は高いものの、心地よいトランス系のアフロ・フュージョンとなっている。
エンジニアのトニー・メイは"Attica Blues"のエンジニアでもあるが、ウェイン・ショーターの"Super Nova"であったり、チック・コリアの"Return To Forever"であったり、他にヴァンモリスンやザ・バンド、エディ・パルミエリ、ロイ・エアーズ、プーチョetc...ジャズ・フュージョン系を中心にしながらも幅広い音楽のエンジニアリングを担当している。ヴァン・ゲルダーなどとは一味違い、音の生々しさよりもマルチ・トラックでブースを使い、楽器の分離を良くし、アンサンブルを上手くまとめる方向性を持っているように聴こえる。

Tracklist

A Black Unity (Part I)18:28
B Black Unity (Part II)18:51

Credits

  • Bass – Cecil McBee, Stanley Clarke

  • Congas, Talking Drum, Balafon [Balophone] – Lawrence Killian

  • Drums – William Hart*, Norman Connors

  • Piano – Joe Bonner

  • Tenor Saxophone – Carlos Garnett

  • Tenor Saxophone, Balafon [Balophone] – Pharoah Sanders

  • Trumpet – Marvin Peterson*

  • Producer – Lee Young (2)

  • Engineer – Tony Maye*

A&R Studios, NYC, November 24, 1971


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