オーネット・コールマンのレコード08 「オーネット・オン・テナー」 The recordings of Ornette Coleman No.08 "Ornate on Tenor"
Tracklist
A1 Cross Breeding 11:17
A2 Mapa 9:07
B1 Enfant 6:27
B2 Eos 6:36
B3 Ecars 7:38
Credits
Bass – Jimmy Garrison
Drums – Ed Blackwell
Engineer [Recording] – Phil Iehle, Tom Dowd
Saxophone [Tenor], Written-By – Ornette Coleman
Trumpet [Pocket] – Don Cherry
61年の3月、前作から2ヶ月後のセッションでベースがスコット・ラファロからジミー・ギャリソンに変わっている。
タイトルにもあるようにオーネットはテナーを吹く。とはいってもスタイルは変わらない。テナーであるからよりゆったりするのかと思うと、そうではなく、よりアグレッシブな演奏になっている。冒頭の「Cross Breeding」にそれが出ており、前作よりも全体がテンポ・アップする中、吹きまくるオーネットに触発されるように、全体に突進感があり気持ちの良い演奏である。ギャリソンも前半もたつく感じがあるものの次第に集中が高まり、良い演奏となっている。このテンポのものはアイゼンゾン、モフェットとのトリオ期以降多くなるのであるが、「FREE JAZZ』以降、ここまででは珍しい。
他はだいたいいつものテンポでの演奏で、短いテーマの後に各々のソロが続く構成となる。このあたりはそれぞれ演奏の絡み合いや、ソロの出来不出来等聴きどころはあるものの、どうもマンネリ感がある。せっかくのテナーなのだからもう少し落としめの、例えばロンリーウーマンのヴァリエーション的なブルースを期待したくなるのだが、それはない。
このアルバムの後、62年に入るとバンドは解散状態となり、ギャリソンはコルトレーン・カルテットへ移籍。ドン・チェリーはスティーブ・レイシーのアルバムに参加し、しばらく後62年にニューヨーク・コンテンポラリー・ファイブを結成。同時にジョージ・ラッセルやアルバート・アイラーとも活動し、初リーダー作「Complete Communion」が65年の録音となる。これにはブラックウェルも参加。その後ブラックウェルとドンは行動を共にし、BYGでのデュオ録音など良い作品が多い。
オーネットは62年年末にタウンホールでコンサートを開くこととなるがその辺りは別稿で扱ったのでそちらを参照願いたい。
後から眺めると、オーネット的にはここで一区切りというタイミングとなっている。多分レコーディングの契約が切れたタイミングなのだろう。アトランティックでの最初の録音が59年の5月。本作が61年3月、2年間で6作品を作ったことになる。最初の3作で蓄えを使い、「FREE JAZZ」のような新たな試みをし、最後の2作は「Ornette」「Ornette on Tenor」自身の名を冠した作品となっているが、煮詰まり感が出ている。
この次のオーネットのスタジオ録音はサントラである65年の「チャパカ組曲」までない。約4年間スタジオでの仕事がなかったわけである。