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コルトレーンのライブ・アルバム 3 Live Recordings of John Coltrane " "Love Supreme" "Live Trane"


コルトレーンのライブ・アルバム、パート3はフランスでの65年のアンティーブのフェスティバルとパリ(Salle Pleyel, Paris 当初ピアノのプレイエルのショールーム併設とのこと)でのライブ録音。

昨年"Live Trane"というBYG発売のライブ盤を3枚組に収めたBOXセットを安価で手に入れたので、以前から気に入っている65年の"Love Supreme"とあわせて覚書程度だが以下。

"Live Trane"には他に61年のエリック・ドルフィー入りのストックホルムでのライブ、同じくストックホルムの63年のライブが入っているのだが、そちらに関してはあまり書く気がおこらない。

コルトレーンのライブはどうしてもシャウトが入るようになって以降、この65年以降が良い。それまでは、なんだかんだ楽音を奏でていて、音を置きに行く感があるのだが、この時期以降は、もう本当に熱演につぐ熱演。エルヴィンもマッコイもギャリソンも一丸となった熱演なのである。熱演するには技量がいる、その技量が本当に充実した時期と思う。

ライブでの"Love Supreme"(65年7月26日)はスタジオの何倍も熱い。スタジオ盤は歴史的名盤でぼくなどが文句を挟んだところでその評価は変わらないが、このライブと是非聴き比べてみてほしい。"A Love Supreme"はスタジオ盤が64年12月9日録音。ウィキによるとリリースが65年1月とのこと。それが本当だったら緊急リリースだ。一応その日付を信じるとその6ヶ月後のライブということになる。もちろん好き好きはあるとは思うが、個人的には"A Love Supreme"はライブが断然良い。2021年に"A Love Supreme: Live In Seattle"という65年10月2日のライブがImpulse!から出た。ファラオとカルロス・ワード(as)それにドナルド・ギャレット(b)が入っていてベース2本体制である。であるので"Live In Seattle"ある意味"A Love Supreme"の進化系だ。リラックした入りからどんどんテンションが高まって行く様子がドキュメントされており、圧巻のパフォーマンスである。コルトレーン的にはどちらかと言えば"Live In Seattle"が決定版なのだと思うし、ぼくもそう思う。

それに比するとこちらは、まだまだスタジオ盤に近い演奏で、"Live In Seattle"が決定版とすると過渡的な要素はある、が、ワン・ホーンのコルトレーンが吹きまくる魅力がある。途中エルヴィンと1on1になるところなどコルトレーン・ファン必聴と思う。

"Love Supreme"だけでなく65年のフランスでのライブは他も良い。曲目も"Naima" "Spiritual" "Impressions" "Afro Blue"とお馴染みの曲+ここでしか聴くことのできない"Blue Valse"である。各メンバーのソロ・スペースも多く、エルヴィンもギャリソンもライブならではの集中した熱量の高いパフォーマンスである。そもそもパフォーマンス・アートをやる身の上で、ステージに上って演奏し拍手をされるほど幸せなことはない。普段スタジオ盤ではあまり感心しない、マッコイのプレーが熱をおびているのも当たり前と言えば当たり前で、どれもとても良いのである。

コルトレーンはとにかくどんどん進化し最後が一番良いと思うのだが、流石にこのカルテットの最終盤の熱演は聞き応えがある。この2ヶ月後65年9月録音の"Live In Seattle"があるがそのライブにはファラオが入ってくる。であるから、いわゆる黄金のカルテットの演奏ということでは、これが残っている最後の録音ではないだろうか?


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