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イスラエル今度はジェニンを包囲 「鉄の壁作戦(Operation Iron Wall)」


既視感のある事態が今度はジェニンで行われている。今回はこれにPA(Palestinian Authority)が関わった。ガザ停戦後の権力闘争が始まったのだといえばそうかもしれないが、タイミングがタイミングである。PAが傀儡だビシーだと言われる所以がよくわかる。PAは反占領武装組織を「テロリスト」とするイスラエルと欧米の立ち位置に合わせ、それらを掃討することで利益を得、将来を描こうとしているのだろう。ただ、パレスチナの人々から支持を得ることができるかは別問題で、現状の不人気もうなづける間の悪さと思う。

このような記事をいくつもポストするつもりはなかったのだが、停戦後のニュースを見ていると気になってくるため、もうザッとの本当にラフなまとめであるが以下。

『1月23日(火)、イスラエルはジェニンへの大規模侵攻を開始し、ヨルダン川西岸北部の反占領武装組織を壊滅させることを目的とした「鉄の壁作戦(Operation Iron Wall)」を宣言しました。しかしイスラエルは単独で行動しているわけではなく、パレスチナ自治政府の治安部隊を事実上の代理人として、この大規模攻撃を全面的に実施しているのです。』(The Parestine Chronicle)

『今回の軍事行動は、ジェニン難民キャンプで数週間にわたりパレスチナ自治政府(PA)の治安部隊が行った一斉掃討作戦の直後に起きています。PA側はこれを治安維持のためと位置づけましたが、多くのパレスチナ人は、イスラエル占領に抵抗する独立系の武装グループを取り締まる目的だったと見ています。』(AL JAZEERA)

『難民キャンプの住民によれば、イスラエル軍が侵攻してきた際、パレスチナ自治政府(PA)の治安部隊—イスラエルの占領を“下請け”していると揶揄されることも多い—は装甲車とともにキャンプの中に配備されていたものの、イスラエル軍に対して反撃はせず、直ちにキャンプから撤退しました。PA治安部隊の報道官アンワル・ラジャブ准将は声明で「イスラエル軍との直接的な衝突を避けるために、私たちはジェニン難民キャンプから撤退した」と述べています。』(Drop Site)

以上のように、今回のイスラエルの「鉄の壁作戦(Operation Iron Wall)」はPAによる一斉掃討作戦を半ば引き継ぐ形でおこなわれたことがわかる。背景としては、

『ジェニン難民キャンプは、長年ヨルダン川西岸におけるパレスチナ武装抵抗の拠点とされており、ここには「ジェニン旅団」という政治的に多様な武装組織が存在します。第三世代の難民が中心となっており、イスラエルの占領と併合からパレスチナの土地を解放するためには武装闘争が鍵だと考えています。今回のイスラエル軍の作戦は、パレスチナ自治政府が数週間にわたってジェニンを攻撃した直後に行われました。これはパレスチナの治安部隊による近年最長かつ最も致死性の高い作戦のひとつで、少なくとも16人のパレスチナ人が死亡し、その大半は民間人でした。PA側はジェニンの治安を取り戻す目的だと説明しましたが、住民らは、実際にはイスラエルの要請に応じて武装抵抗を壊滅させることが狙いだったと考えています。』(Drop Site)

そのような中、イスラエルはガザと同様に水や電気など必要なサプライを止め、ブルドーザーでインフラを破壊、病院も包囲、ジャーナリスト締め出し… イスラエルの国防相は「ガザで繰り返し行った侵攻の手法から学んだ教訓(the lessons)を実行する」と発言している。

『火曜日、イスラエルの財務相ベツァレル・スモトリッチは、イスラエルによるジェニンへの侵攻は「ヨルダン川西岸の治安状況を変える」ためのものだと述べました。(中略)「もはや(攻撃の)未然防止や通常の治安維持ではなく、これは戦争目的の一部だ。戦争状態にあるときは、使える手段がまったく変わる」とスモトリッチは述べています。』(The Parestine Chronicle)

以上からかなり危機的な状況であることがわかる。トランプ政権になるにあたって、ガザの停戦と引き換えに西岸地区に対してのなんらかの取引があったのでは?との推察が多々あったわけだが、すぐに形になって出てきたわけである。

『一方ワシントンでは、ドナルド・トランプ米大統領が就任直後に大統領令を発し、バイデン政権が科していたヨルダン川西岸の複数のイスラエル入植者に対する制裁を解除しました。トランプ大統領はまた、ガザの停戦合意が継続するかどうかについては自信がないと述べています。「あれは私たちの戦争ではない。彼らの戦争だ。だが私はあまり楽観していない」と、オーバルオフィスで語りました。「ガザの映像を見たが、あそこは完全に破壊されている。あの場所は本当に、違う形で再建しなければならない」と述べ、ガザが「海沿いにある素晴らしい場所」だと言及しつつ、「何か美しいものを作ることができるはずだ」と付け加えました。』(Drop Site)

最後に「カタールがジェニンでのイスラエルの攻撃と民間人殺害を非難」(AL JAZEERA)との24日午後(日本時間)のニュース

『カタールは、占領下ヨルダン川西岸のジェニンに対するイスラエルの攻撃と、そこでの民間人殺害を「強い非難と抗議」の意をもって糾弾し、これを「国際人道法および人権法の明白な侵害」であると表明しました。カタール外務省はまた、国際社会に対し「これらの違反に対処する責任を果たし、国際法および関連する合意の規定に従って民間人の完全な保護を確保するための行動をとるよう」求めています。声明はさらに、「カタール国はパレスチナ問題の正当性と、兄弟であるパレスチナ人民が有する正当な権利、すなわち1967年の国境線に基づき東エルサレムを首都とする独立国家樹立という立場を改めて堅持する」と付け加えました。』


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