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『風鈴』 終戦記念日に捧げる詩

『風鈴』

風鈴鳴った

まどろむように流れる
夏の空気をくぐりぬけ

砂利道を走る自転車の中を
猫たちが涼む庭の中を
風に揺れるリネンのカーテンの中を……


風鈴鳴った

うつらうつらしている
夕暮れの庭を通り抜け

青く湿った草の上を
黄昏の光を浴びる蔦の上を
眠りゆく朝顔の花びらの上を……


風鈴鳴った

暮れていく軒先の金魚鉢の水に
ひとつ
ゆるやかな波紋が浮かびくる

2023.8.15



今年も8月15日を迎えました。
決して忘れてはならない日です。

今も世界中で争いが続いている中、平和とは何か、私なりに考えて参りました。
様々な考えが頭に浮かんでは消え、また浮かび……
そしてようやく、平和とは静寂の中にあるのだということを知りました。
今、私の頭上で争いが起きていないからこそ存在する、大切な静けさなのだと。

例えば夏の午後に風鈴の音に耳を澄ませること。
その音が辺りに涼しげに木霊すること……
それは平和あってこその静けさ、夏の趣なのだと、気がつきました。

世界中にいつか幸せな静寂が訪れることを願って、この風鈴の詩を捧げます。
多くの命と笑顔が守られますように。

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