制作の気持ち、アロマ、テレピンの匂い。 2021/10/16
昨日の日記に書いた絵ではないが、今描いている絵もなんかパッとしないな〜、何が描きたいんだこれは…と思っていた。でも、他人に「なんか出世作っぽいね」と言われて驚いた。他人にどう言われようと自分が面白くない、パッとしないと思ったならその良くない要素を見つけ出して修正するべきだと思う。が、そう言われたあとつぎに筆をキャンバスに走らせる時、なんとなく絵に対する気持ちが良い方に変わっていることもあるから、やっぱり他人の助言や言葉はなんでも聞くだけ聞いといて損はないなと思う。だからといってあの絵のことを面白いと思えるようになったかと言われたら…まぁNoなんだけど、面白くない!と思った後、やめずに続きを描くことができたのは人の言葉のおかげだと思う。とりあえず描くのも大事ですよね。それもわかってるけど、私は結構すぐ、描くのをやめてしまうので。(半年後にまたキャンバスを引っ張り出してきて描いたりもします)
制作をしてる時、めんどくさい時は手を洗わずにおやつをつまんだりする。チョコレート系は、油絵具のついた指先で溶ける。食べたらやばそうなのであまり食べないようにしているけど、m&m'sのような手で溶けない系のチョコレートは食べてしまう。じゃがりことかも行っちゃう。フタさえ剥がしていれば片手で食べられるし。溶けて混ざらないからと言って手に絵の具がついたまま食べるのは絶対良くないと思う。混ざらないだけで口に入らない訳ではない。
コロナ禍になってからは、製作中でも気がついた時にはなんとなく手を洗いにいくようにもなった。しかし、家で5時間くらい制作していて、手も頭の中もぐちゃぐちゃで、制作にキリがつかない時は片付け後まで手を洗わない時もある。絶対洗った方がいいと思う。言い訳だけど、家ってこう、きっかけがないんです。集中してると尿意も感じないし、全然制作をしている場所から出ない。だからおやつ食べる時も手を洗わない…って思ったけど、尿意も忘れるほど集中してる時って別に食べ物食べたくならないな。喉が乾いているのも忘れるくらいだし。そういえば家で制作している時、アトリエでおやつを食べたことがないかもしれない。多分おやつを食べる日は適度に手を洗っている家以外での制作の日だな。じゃあよかった。
でも絵の具ついた手で食べてる時が多いのは事実。きたねーけどいいやと思っているので。気をつけよう〜。
そもそもオイル臭い部屋で物を食べたりするの、油画以外の人は最悪だろうなと思う。
オイルの匂いのことを考えていたら思い出したエピソードがあるので書く。
油画をやり始めた頃、テレピンの匂いですぐ頭が痛くなっていた。テレピンの香りはなんと説明したらいいのかわからないけど……、ツンとした独特の香りがする。眉間がぼーっとする感じの匂い。油画は好きだったが、オイルの匂いがどうにもダメだった。いくら手を洗っても、身体中からオイルの匂いがして嫌だった。いつからか体に不調が出ることは無くなり、嗅ぎに行かない限りはそのきつい匂いを感じなくなっていた。いつも嗅いでいるので匂いに慣れたのだ。
制作がめちゃくちゃ行き詰まっていた日、人が使ってるテレピンからラベンダーみたいな匂いがした日があった。
油画の画材はだいたい臭いので、クサカベのゼファーシリーズのような、こんな感じのアロマの香りのする画材もある。この類の画材を使ったことがないので嗅いだこともなかったが、この人が使っているのはこの類のテレピンなのかなと思った。
しばらく製作していたが、ものすごく良い匂いだったので気になって、「ごめん、テレピン見せてくれない?」と聞いた。「いいよ〜」と笑顔で言ってくれ、それを渡してくれた。渡されたテレピンは外国製のもので、成分表記なども全部英語だった。お勉強はできないけど、ちょっと匂いがしますとか、アロマの香りですとか、それくらいはたぶんノリで読めるだろうと思ったので、ラベルを隅々まで読んだ。でも、微香性だとか、不快な香りがしませんとか、そんなことはすこ〜しも書かれていなかった。ブランドと商品名で調べてみたところ、どうやらこのテレピンは廃盤らしい。出てきたサイトから特徴などを読んだが、ラベルと同じように、微香性であるということは記されていなかった。そのテレピンの蓋を開けて、直で匂いを嗅いだ。結構大きく吸い込んだ。やはりとてもいい匂いだった。ずっと嗅いでいたい匂い。
それが微香性でないことを信じられない私は、「テレピンのにおい」しかしないはずの、日頃自分が使っているいつものテレピンを嗅いだ。微香性でないと知っている自分のテレピンからは、ツンとした、長く嗅いでいたくないような匂いがするはずで、慣れた鼻でも、ほぼ直で嗅いだらそのような不快な匂いがするはずだった。しかし、嗅いだ自分のテレピンからは、さっき嗅いだラベンダーの匂いがした。微香性じゃないからそんなわけがないのに。本当にびっくりしてしまった。さっきラベンダーの匂いだと感じたのは、いつものテレピンの匂いだった。
テレピンを見せてくれた人に「どうしたの?」と言われたので、テレピンの匂いをラベンダーの匂いだと感じてしまったと伝えたら、「………制作やめて外行ってくれば?」と言われた。その人にテレピンを返して外に出た。制作しすぎているな…としみじみ思った。
今でもたまに、テレピンの匂いがラベンダーアロマの香りに感じられる日がある。実際、スッとする香りとじっと残る香りがあるところが2つの香りに共通しているんだと思うけど、くっさ〜いはずの香りを本当にいい香りだと思ってしまうので怖い。脳が苦しい制作の中に快楽を求めて求めて求めすぎて、おかしくなっているんじゃないかと勝手に思っている。
制作ばっかりしてると制作のことしか日記に書くことがない。本当にそれ以外に書くことがないんだけど、読み返した時、あまり楽しくないので制作以外のことを書きたいとも思う。