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コンテキスト・エコノミーの隆盛

作品そのものも評価の対象ではあるものの、作品に付随する物語=コンテキストが大きな付加価値を生んでいるという現象が多くなってきている気がする。

最近ではけんすう氏が「プロセス・エコノミー」という概念を提唱しており、「プロセスを共有するところがお金を稼ぐメインとなる」みたいな形が成り立つのではないかと言及しており、そこからうんうん考えていた結果である。

また、先日シャーマンキングについて書いたこともこの話には繋がってくるのでそちらも興味があれば。

コンテキスト・エコノミーとは

本稿ではコンテキスト・エコノミーを「その作品(ないしは出来事)だけでなく、それに至る過程や歴史を含めて評価され金銭的な価値に転換されるビジネスの概念」とします。

この反対には、純粋にその作品単体で評価されることがありますが、うまい言い回しが思いつきません。アノニマス・エコノミーとか?バンクシーとかはな誰か分からないというコンテキストを使うというメタ的な存在なので面白いですよね。

「コンテキスト・エコノミー」だなんて新しく語を設定してみていますが、身の回りには、これらのもので溢れていると思ってます。ブランディングとかストーリーとかサーガとか、もしくはユニバースとかですね、色々な表現がされてきていますが、結局はコンテキストのことかなと。

インターネットの発達によって、情報を広く集められる状態になっていることで、以前は点と点だったものがユーザーの脳内で線になったりすることがあったり、製作者が意図して繋げていたり、提供形態は様々だと思いますが最近その傾向が加速しているのは間違いないのかなと思ってます。

具体的な例を見てみましょう。

コンテキスト・エコノミーの例

映画
スターウォーズのサーガとかマーベルとかですね。シリーズものになっていることが多いので比較的分かりやすいかなと。ただ、最近ではあの役者さんはこの時ああでこうでみたいな、作品以外のバックグラウンドもコンテキストとして読み込まれている気がします。あとはエヴァンゲリヲンのように監督のプライベートと作品の関連性を言及するムーブメントがありますよね。

競馬
最近ウマ娘でも人気になってきていますが、これはなかなかに究極系的なところがあるかなと思ってます。結局はレースなので、その時その時で勝負をしているんですが、背負っているコンテキストの量が半端ないですね。馬は先祖がどうだって話はありますし、ジョッキーや調教師、馬主にもコンテキストがあって、かなり複雑に絡み合っている印象です。それによって競馬ファンはそのレースを見るときに、過去の様々なコンテキストからそのレースを味わうわけです。競馬ファンの知り合いが多いのですが、ほとんどの人はコンテキストに賭けている=浪漫に賭けてますね。

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漫画
これも分かりやすいですね。ジョジョの奇妙な冒険とかが分かりやすい例でしょうか。ただ、ジョジョに関してはそれぞれの部で独立して楽しめるところのバランス感覚が絶妙だなと思ってます。

スタートアップ
最近の話じゃないかもしれないですが、起業したストーリーとか、どうやって仲間を集めたとか、何を課題だと捉えていてどんな感じに解消したとか、資金調達のプレゼン資料を公開したり、プロセスをオープンにしたりしつつ、それがコンテキストとして読み込まれて「なんかあのスタートアップいけてる!応援したい!」みたいなファン作りをどのスタートアップもやっている気がします。

音楽
Apple Musicにあるアーティストが作ったプレイリストとか、HIPHOPとかに見られるサンプリング文化が分かりやすい例ですかね。サンプリング、あれ、分かる人はほんとすごいなと思います。なんで回転数変えて音変えたりリズム変えたりしているのに元ネタ分かったりするんですかね。

コンテキスト・エコノミーのすごいところ

作品単体ではない膨大なコンテキスト込みで評価されるので、うまく噛み合うと膨大な効果を生みます。千重の一重とでも言いますか、一つの作品や出来事から森羅万象を体感できるような感じですね。

コンテキスト・エコノミーの問題点

1. コンテキストがないと評価されない

結局コンテキストの量によって付加価値の総和が決まってしまいかねないので、規模の経済に近い現象が起きてしまうのかなと思ってます。新興の作品や現象では勝てない=コンテキスト・エコノミー作品だらけになって、結局作品の多様性や単体としての娯楽性が失われるみたいな。あれもこれも繋がっているから面白いみたいな言い訳になっちゃったり。個人的にはスターウォーズのエピソード7がそんな感じです。

それに対処する方法として「プロセス・エコノミー」を活用して、新興作品だとしても、コンテキストを蓄積するというのはありかもしれません。

2. 意図しないコンテキストを背負うとハンデになる

これはまぁそのまんまですね。多様な人が関わる映画とかだと良くあることな気がします。作品は面白いのかもしれないけど、誰々のことが嫌いとか。

一回絡まるとその呪縛から抜け出しにくいのがキツいですよね。

雑感

こうやって整理してみるとなかなか良い言葉を定義できた気がします。

ただ、自分自身が大人になってきてコンテキストを帯びつつあるので、これを身近に感じつつあるというか、ある種の老化なのかもしれないなと思ったり。例えば新作iMac、昔のiMacのカラバリを思い出してテンション上がるとかね。

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