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『母親になって後悔してる』

『母親になって後悔してる』(オルナ・ドーナト)を読んだ。

刺激的なタイトルだ。一部の人々が思わず感情的になりそうである。

私が本書を手に取ったきっかけは、私を盛んに虐待してきた母(絶縁済)の心情を知りたいと思ったからだ。

母が私を産んで後悔しているのは間違いない。私は子ども時代に「産むんじゃなかった」と二度ほど言われた記憶があるからだ。
時期を置いたものの二度目の発言に至ったのは、さしずめ大事なことなので2回言おうと思ったのだろう笑

母親は未熟な人だったのだ。

本書に登場する母親たちは「子どもを愛している」と「母親になって後悔してる」を並立させている

本書に登場する母親たちは、拍子抜けするほどに〝まっとう〟な人々である。

「時計の針を戻せるのであれば、子どもを産む人生を選ばなかっただろう」と切実に語る。

その一方で「子どもを愛しており、『(子どもを産むかどうかを含め)あなたの人生なのだから、自分で選びなさいね』と伝えた」とあっさりと語る。

つまりは子どもに愛情を持ち、かつ子どもをまったく別人格を持つ存在として認めているということだ。

それってとても健康的なことなのでは?

少なくとも子どもに〝孫〟の出産を強い、「結婚して孫の顔を見せないなら、東京の公営墓地に入れ」とのLINEを送ってくる私の母よりよっぽどまともなのではないだろうか笑。本書に登場する母親たちは子どもを親の「従物」とみなしてないのだから。一人の人格として尊重しているのだから。

感情を細かく分けて、丁寧に見ていくことの重要性

感情は簡単ではなく、細かく分けて整理して見ていくのはどうだろうか。

母親になったことを後悔していることと、子どもを憎むことは混然一体ではない。
そして、〝聖母〟のごとき母親像を実際の母親に強制することは、かえって子ども虐待という現象を助長するのではないだろうか。

母親も当然人格があり、ひとりの人間である。その母親の〝思い〟を丁寧に傾聴し、社会に呈示する。著者はきわめて重要な仕事をしたのではないだろうか。

子どもを持たないという選択肢は当然アリ

私自身は子どもはもとより、家族を持たない気まんまんである。結婚できないし、結婚しない。完璧な人生である笑。

そもそもが子どもを持たないことは自由意思の発露であって、他人や社会がとやかく言うことではない。ひとり暮らしははっきり言って楽しいが過ぎる。この暮らしを手放すつもりは毛頭ない。

久々にいい本にめぐり合えたものである。


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