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海外では安全に気を付けましょう② ~ブラジル リオデジャネイロ~

ブラジル リオデジャネイロは第二の都市です。サンパウロよりも危険な場所だと思います。
 
それは、「ファベーラ」と呼ばれるスラム街が発達しているからです。ファベーラは町のテイも成してなくて、「貧民窟」と呼ばれたりします。
 
ファベーラは山の斜面に貧しい人々が勝手に小屋を建てて、違法に占拠して住んでいるところです。中はマフィアが仕切っているので警察の権力も及びません。
 
かつてマイケル・ジャクソンがファベーラ内でPVを撮影したときには(”They Don’t Care About Us”)、警察が保護できないために、マフィアに多額の金を払ったと言われています。
 
「City of God」という映画にその様子が描写されているので見るとその超絶危険な雰囲気が分かると思います。怖いのは、映画の描写がそんなに誇張でもないことです。
 
観光客が車で迷い込んだ末に襲われて問題になったりします。カーナビには「危険な道・地域」を峻別する機能が無いので、最短経路をナビで結んだときに何も知らない観光客がファベーラを通ってしまうことがあるのです。
 
この地域では公立学校は半日しか開いておらず、教師には危険手当が支給されます。大半の生徒の親が麻薬密売人です。密売の仕事をちゃんとしているから子どもを学校に来させられる、という言い方もできます。
 
貧民街は危険ですが、リオデジャネイロは観光地で、綺麗なところです。私は住んだことはありませんが、観光で訪れた時に見聞きしたことを書きます。
 
リオデジャネイロには、ブラジル最大の貧民街、ファベーラ・ホッシーニャと呼ばれる地区があります。山の斜面に違法建築の小屋が広がり、その山ひとつだけで7万人が住んでいます。

ファベーラ・ホッシーニャ Photograph By Diego Baravelli

観光でリゾートホテルにやってきた私は、ホテルのエントランスに置かれたパンフレットに目を奪われてしまいました。「ファベーラツアー!中を覗いてみませんか?」
 
危険なことは重々承知ですが一度見てみたい。その誘惑には勝てず、ツアーに申し込んでしまいました。行くなという話ですが。
 
ツアーはジープの荷台に乗り込み、ファベーラ・ホッシーニャの中を走り回ります。
 
最初にツアーガイドから説明があります。
「皆さん安心してください。このツアーはとても安全です。なぜなら私たちは、このツアーを催行する許可をもらうために、この地区のマフィアのボスにお金を納めています。住民の人々は、このツアーがボスの許可を得ているということを知っていますから、決して襲っては来ません。仮に襲ったらその日のうちに殺される、ということを皆分かっているからです。安心してください。」
 
安心して良いのか、悪いのか分からないような説明です。
 
「指示されたところ以外で決して車から降りないように。」
 
ツアーが始まります。貧民街の中にはちゃんと商店や大手銀行の支店なんかもあって、意外と町の機能は成立しています。ひとつひとつの小屋のような家にも電気が引いてあり、中で普通にテレビなんか見ています。
 
やがて「ボスの家を訪問します」と言い出しました。表敬訪問でしょうか。やはり何か雰囲気のある黒人男性でしたが、顔はにこやかで柔和でした。冷蔵庫から缶ビールを取り出して勧められましたが、それは10ドルほどで買わされました。ボスの割には意外とケチだなと思いました。ボスの家はさすがに中心部の高台、斜面の集落を一面に見渡せるところに建っています。
 
帰り道、急にツアーガイドの顔が曇り、運転手に「ここを早く立ち去ろう」と指示します。
見ると向こうからやって来るトラックの荷台に乗っている男が自動小銃を掲げて何やら叫んでいます。
 
襲われないんじゃなかったのか。ボスにもちゃんと挨拶したのに?反抗勢力か?
 
ツアーガイドは無言で、その場を十分離れた後に言うには、「あれはヤク中だから、ボスの抑止力も何もない。何をするか分からない」だそうです。そういうのを一瞬で見分けるツアーガイドすごい。
 
以上2回でお伝えした海外安全 ブラジル編でした。

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