水野勇太

AIテクニカルゲームデザイナー。メタAI(ゲームAI)研究者。 所属➡「水野 メタ」で…

水野勇太

AIテクニカルゲームデザイナー。メタAI(ゲームAI)研究者。 所属➡「水野 メタ」で検索。仕事➡AI技術とゲームデザインをつなぐ。 最近は、分析美学や環世界などにも興味が強いです。 Twitterも宜しく!

最近の記事

あなたのゲームをゲームにするために① -ゲームデザインのいろは-

神ゲー創造主エボリューション(GAME PRIZE OF JAPAN) のメンターとして、ゲームデザインについて色々と助言させていただいているので、せっかくなので言語化して、まとめてみます。 敢えてコレをハズすデザインもあったり、最後はゲームによって一番良いバランスにするので、あくまで一つの参考として。 ①最適解を作らない。 ゲームデザインあるあるですが、最適解=NGです。 一番強い攻撃、一番面白い選択肢、はダメです。 「せっかくだからやった方がいい事」もNGです。 つ

    • 虚実皮膜でヒトは泣けるか -マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画-

      「私は今からあなたを騙します。」 あなたはどう思っただろうか。 「いやいや、私が騙されるはずがない」 「騙せるものなら騙してみろ」 身構える人が多いのではと思う。 作風、芸風として、これを観客に言ってから自分の作品を見せる。 そんな事を毎回しているのがこの作品の監督、佐々木誠だ。 もちろん世の中には、それを楽しむエンタテインメントは他にもある。 「タネも仕掛けもありません」はタネも仕掛けもある事を意味している。 その上で騙されるのを楽しむのがマジックだ。 だけれども、驚

      • PS5ファーストインプレッション

        やっと我が家にPS5が。 さっそく新コントローラーに大喜びの息子5歳。 PS5本体感想PS5はハプティクスとアダプティブトリガーに一番期待してた。 ハプティクスについては、正直もう一段驚きが欲しかったくらいのクォリティ。 アダプティブトリガーはボチボチかなぁ。 どちらもソフト側の頑張りでもう少しは良くなるかもしれないけど、想像は超えなそうかな…。 意外と良かったし大事だったのがコントローラーのスピーカー。 マルチモーダルというところで、高品質のハプティクスを実現するのには

        • 完全に完成された不完全なドキュメンタリー:愛について語るときにイケダの語ること

          首筋にもぞもぞとした感触があった。指で払うと動く感触があった。虫っぽい。 しばらくするとまたもぞもぞ。今度は捕まえた。地面に放り投げた。 しばらくすると今度はチケットを握った指先にもぞもぞ。 仕方なく空列の最前列方向の地面に強めに投げ捨てた。 ぷ~んとカメムシの匂いがマスクを貫いて香ってきた。暗くて見えなかった。5mmほどの小ささだったがカメムシだったのか…。 隣の人に申し訳なさがこみあげてきた。いや自分の所為でもないのだが。 「愛について語るときにイケダの語ること」観てき

        あなたのゲームをゲームにするために① -ゲームデザインのいろは-

        • 虚実皮膜でヒトは泣けるか -マイノリティとセックスに関する、極私的恋愛映画-

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          対象の大きさを意識して喋る

          これは自分が出来ているという話ではなく、まだまだ出来ていない自分への自戒の記事でもあります。 去年の1/1。今年のテーマは「境界」にしようと思った。ゲームAIを研究しながら、人をも覆い尽くして、はみ出せるような存在になりうるAI開発を目指すメタAIマッドサイエンティストとしては、常に『知能とAIの境界線』を意識していたから。 そして「国と国の境界線」など本当は何も無いのに人間が勝手に引いてしまう境界線などにも興味があった。 ━━━━━━━━━━━━━━━ こうして何かを書

          対象の大きさを意識して喋る

          ビジネスコンサルタントにおける≪アート≫

          この発言は聞く人によっては攻撃的に読めてしまう事は自覚している。ただし、目指している所は攻撃や否定ではなく批評である。批判ですらなく批評である。 また自身がアート原理主義者である事は自覚した上の発言である。 結論から言うと、住む世界が違う。食べてるものが違う。吸ってる空気が違う。 なので、 定義が違うし世界が違うので、好きにすれば良い。 けれど、そのやり方だと言ったもんがちになる。 論理的に突き上げられるとアートであると証明できない。 …と思う。 いわゆるビジネスコンサル

          ビジネスコンサルタントにおける≪アート≫

          仮想音楽メタAIゲーム企画:アンビバレンス

          Why: プレイヤーにアンビバレントな感情を与え、ジレンマの中でゲームを経験してもらう。 How: プレイヤーが選択する誰と一緒に過ごすか+ランダム(メタAI)で仲良くなるイベントが発生。 しかしさらにランダムでミニゲームが発生。ミニゲームに失敗するとDead End。 クリアするとその時話していた友人がDead End。 好きな友人を生き残らせるには話しかけてはいけない。しかし話しかけなければ真実から遠のいてしまう。 What: マルチエンド。友人には爽やかで明るい魅力

          仮想音楽メタAIゲーム企画:アンビバレンス

          大胆予想!?Clubhouseというゲームメカニクス

          最近話題のClubhouseをしばらく観察してみたので、気づいたことを書いてみる。自分は、ゲームを作る人、AIテクニカルゲームデザイナーなので、その視点からモチベーションの整理なども。 あくまで今の時点での予想なので、将来は大きく違う形になっている可能性もあるし、どこまで続くかは有名人をどこまでつなぎとめられるか次第という部分は大きそう。 ■ClubhouseというゲームのWhy/How/What【Why】 今しか聞けないライブ(っぽい)体験、ココでしか聞けない話があると

          大胆予想!?Clubhouseというゲームメカニクス

          【CEDEC2020】ゲームデザインにおけるAI活用のための「メタAIデザインパターン」 ―基本15パターン― の参考文献リスト(緊急用)【参考文献】

          CEDEC2020の登壇内容「ゲームデザインにおけるAI活用のための「メタAIデザインパターン」 ―基本15パターン―」の発表のための参考文献リストです。 特に「パターン・ランゲージ」周りの文献が中心です。 最終的な資料公開が少しお時間をいただいてしまいそうなので、 参考文献リストを取り急ぎ公開します。 動画の最後にこのスライドがあるのですが、見えない解像度になってしまっている&クリック出来た方がお役に立てると思うので…。 最終的にもう少し整理するかもしれませんが、取り急ぎ

          【CEDEC2020】ゲームデザインにおけるAI活用のための「メタAIデザインパターン」 ―基本15パターン― の参考文献リスト(緊急用)【参考文献】

          AI選択バトル将棋の可能性

          先日、「ビデオゲームの美学」(松永伸司)の読書会の後に「AI選択バトル将棋」を作ってくださいよーという話になった。 そこでも色々話したのだけれど、リアルタイム口頭でのお話だけだったので、改めてそこで話した 自分の考え を整理してまとめてみる。 誰に何をさせたいゲームなのか  将棋が分からない人のための、AI選択だけで将棋が打てるゲーム    ①いずれ自分で打てるようになって欲しい    ②AI選択が楽しく、続けられる 今井さんのイメージしているのは上のようなゲームかなと

          AI選択バトル将棋の可能性

          アートがなぜ興味深いのか

          自分はアートはよく分からないというスタンスで生きてきた。 美術の成績は5段階の5だったけれど、暗記テストがほぼ満点だったからで、授業で紹介される作品に心を打たれたことはなかった…と思う。 絵の立体感を出すには陰をつけると良いということも中学になって初めて意識した。どう頑張っても球体にならないサッカーボールに、陰を足したら突然球になった。隣の席の美術部の女の子が教えてくれた。目を細めると陰がついてる場所が分かりやすくなるよと教えてくれた。 ところが最近、そんな僕がアートに大

          アートがなぜ興味深いのか

          ペンギン・ハイウェイとフィクションのリアリティ

          今自分の関心事がフィクションのリアリティだからなのだろう。フィクションのリアリティが大変興味深い話だった。 が、結論から言うと個人的には残念な作品だった。 以下、ネタバレっぽい内容を多少含む。出来るだけガチネタバレは回避してます。 基本的にはこういう鑑賞を作者は求めてないとは思うのだけれど。 現実的、論理的、物理的思考の少年とSF的存在との交差。それは一瞬、僕の大好きなとなりのトトロの後継作になり得るような広がりを感じさせる。 しかし最終的には、SF要素を現実的な少年が

          ペンギン・ハイウェイとフィクションのリアリティ

          デスストランディングは間違いなくメタルギアの後継作だーデススト感想#01

          11/14 10:25 最下部に荷物運びゲームの非対称性について追記 まだバイクの充電すら終わってないけれど、現時点で思ったことの感想を。 ネタバレなしです。 デスストランディング(以下、デススト)は間違いなく小島監督のメタルギアの続編だなと感じた。 メタルギアにおける一つの大きな発明はフェイズだった。 敵がプレイヤーに気付いておらず巡回している潜入フェイズ。敵が異変に気付いて調査を始める警戒フェイズ。そしてプレイヤーを発見し戦闘状態になる危険フェイズ。 プレイヤー

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          第24回AI美芸研「宗教と数理脳」レポート

          第24回AI美芸研「宗教と数理脳」2019.05.02 大久保・淀橋教会 ハッシュタグ:#AI美芸研 https://www.aibigeiken.com/research/r024.html 甘利先生の講演を直接聞けて、そして打ち上げで直接お話ができて大変幸せでした。稲垣先生とのお話も大変刺激的でした。甘利先生のインタビューか何かを拝読した時に、情報幾何を修めたいと思ったのに、それより先にお会いすることになり無念でした…。 --- ■水野の最終的に残った疑問(5/6

          第24回AI美芸研「宗教と数理脳」レポート

          JazzとLiveとGameと

          申し訳ないながら、 ゲームミュージックのコンサートがほぼ初めてくらいの初心者だったんですが、 非常に楽しかったし、色々考えさせられた。 こちらに参加させていただきました。 Billboard Live presents SQUARE ENIX JAZZ -DEBUT- https://www.jp.square-enix.com/music/sem/page/jazzlive/debut/ 中川さんが非常にオーディエンスをのせるのが上手い方だったので、こちらはその指示に合

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          思考を強制される:山形一生・永田康祐

          長谷川新さんのご紹介で山形一生さんと、永田康祐さんと飲めるということで、MVを拝見したりICCへ行ってきたので、その感想メモです。 山形さんと永田さんの作品の感想。 他人の感想を読まずにまず受容したい方は読まないように。 山形さんのMV「窓から見える」 https://youtu.be/S_XKg8Ywqmo これが非常に面白い。 窓というか穴から部屋らしき風景の断片が見えるんですが「ここはどこだろう?」「自分は誰だろう?」「この部屋で何か起こったのだろうか?」と次々考

          思考を強制される:山形一生・永田康祐