森鷗外『舞姫』

太田豊太郎とエリスの物語。
特権階級の太田豊太郎と純真な舞姫エリス。豊太郎の薄情な人生選択に人生を翻弄され命をおとしてしまう。
豊太郎の視点で語られる一人称小説はまさしく自分を中心にしか世界を描かない。

学歴や階級また貧富の格差など様々な社会的制約が色濃い明治期の、エリートの選り抜きの太田豊太郎はまさに、著者森鷗外そのものであった。

読者に「あなただったらどのように考え行動するか」を投げかけた｡明治の巨匠は不条理を描くことで自律と自立の問題を提起した。読者に「あなただったらどのように考え行動するか」を問う｡
鷗外自身がエリートであるが故の苦悩を小説萌芽期の作品に託した不朽の名作。
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