41冊目. ナナメの夕暮れ
あらすじ
人間関係や仕事といった社会全体を正面からではなく、ナナメから捉える若林が見ている世界は歪ながらにも、共感できることも少なくなかった。売れない芸人時代に感じた劣等感、売れてから見えた芸能界と社会の仕組み。そんな、社会の中で感じた違和感や憤りを原稿にぶつけている。そんな本だ。
感想
社会生活を営んでいると必ず自分とは異なる他者と関わることになる。価値観やバックグラウンドも違えば、趣味趣向も異なる。そんな人のことを私たちはいつの間にか「自分とは違う他者」として捉え、彼らの行動や言動の価値を下げているのではないだろうか。著者の若林は「価値下げによる自己肯定は自分が楽になるから癖になる」と記述しており、数十年間、偏見や先入観で様々なことを敬遠してきた。スタバで「グランデ」と頼むこと、ゴルフをすること、プロレス観戦をすること、多くのことを避けてきた。それでも、年齢を重ねるごとにそれらに対する偏見がなくなっていき、彼の人生は空虚のものから充実したものに変化していった。
社会や人をナナメから見ることは必ずしも悪いことではない。それによって、真実が見えることもあるからだ。しかし、偏見や羨望といったフィルターを通して社会をナナメに見ることは空虚な人生に繋がると学べた。自分の好きが見つからこそ、人の行動や言動を尊重できる。だから、自分の好きを探すことが重要だと彼は言う。