35冊目. くもをさがす
人が死ぬことを意識したときに何を思うのだろうか。
「人生は有限だ」とか「人生は一度きりしかない」など一度は言ったことがあるし、聞いたことがあるセリフなのではないだろうか。しかし、実際それを強く意識して生活している人が私を含めてどれくらいいるのだろうか。いつの間にか生が当たり前になり、生きることという当然を手に入れ、慣れたてしまっている。他者性がなくなり、当然になっていた彼女のように。がんを患ったことは彼女の当然のようにあった当たり前から他者性を再び呼び戻しているように思えた