神楽さんちの大みそか
「もしもし穂波です…まあ!かぐりんさん!こんな時間にどうなさいましたの?」
「それは自分の胸に手を当てればわかるんじゃないかな?アカリ」
「…と仰いますと?」
「その言い方…ちょっと花菜との特訓で家を空けている間うちの掃除とか新年の支度にメイドさん部隊を派遣したのはアカリじゃなかった…?」
「あー…恐らくお父様ですわね…かぐりんさんのお父様経由での」
「そういう事かあ…疑ってすまなかったよ。ボクもまあ…ほら、年頃の高校生として思うところがあるからさ」
「お部屋の学術書の棚の本型のダミーケースに隠しているスクールアイドルさんのBDのお話ですの?」
「…何故それを知っている?」
「初歩的な推理でしてよホームズ君。かぐりんさんがわたくし宛に苦情を言いに来たのがこの話の始まり。ちょっと前にとくちゃんさんを交えたビデオ通話でオススメのスクールアイドルの話をされていた事。かぐりんさんの通話画面から見える部屋の内装。今研究中なのですぐに読めるようにしたい、けど隠しておきたい。そんな都合の良い場所は…そしてかぐりんさんのお父様も同じ発想で成人向けな本を隠していたとの話をお父様から聞いていたので」
「血は争えない…かあ」
「これもまた伝統…ですわね」
「それはそうとかぐりんさん。今朝方プライベートジェットを飛ばしてうちのシェフをそちらへ向かわせましたので…そろそろみたいですわね」
ピンポーン
「アカリ、どういう事だい?」
「年越し蕎麦の出前ですわ。かぐりんさんの食生活が本を読みながら食べられるサンドウィッチとかハンバーガーばっかりなのはバレてますのでたまにはきちんと季節感のあるものを食べてくれとかぐりんさんのお父様からも言われてますので。それではかぐりんさん、よいお年を」
「おやすみなさい、よいお年を」
「ふう、ご馳走様でした。アメリカでの生活にも慣れたつもりでいたのにアカリにこんな事されたら急にホームシックになりそうだな…けど残されてる時間も無いしボクも負けてられないんだ。同い年の天才って聞かされたらさ。年が明ける頃にはとくちゃんからあけおめコールが来るだろうけどそれまで時間があるからもうちょっとだけ研究しとかないとね。待っててくれよ蓮ノ大三角。チームかなかぐ、天才と天才が手を組んだら無敵ってのを見せてあげるからさ」