イレブン・イヤー・エルダー
今夜行われるるりちゃんのお誕生日パーティーの為に私は金沢市内のケーキ屋さんに向かっている。最近のるりちゃんの好みを調べ上げて特注のケーキを注文していざ受け取る!るりちゃんが『めぐちゃん天才…!』と泣いて喜ぶ姿が目に浮かぶようだ。にやにや笑いを抑えきれないままお店の入り口に向かうと先客がいた。片眼を隠すような髪型の少し歳上っぽい女の子。どっかで見たような気がする…めぐちゃん記憶力を駆使してライブの記憶を掘り返す…多分めぐ党さんだ。けどお互いプライベートの筈だし触れないでおこう
先客のめぐ党さんがケーキを受け取ってお店を出た後に私もお代を受け取った店員さんからケーキを受け取る。これだ!という理想のケーキがそこに収められていた。喜び小躍りしながらお店を出ると意外な光景がそこにあった
「あれ!?慈ちゃん。元気してた?」
年度末にるりちゃんがテスト勉強をする為に差し向けてきた刺客。吉田さんが先程の子と一緒にいる。何故ここに!?
「吉田さんまたこの辺の若い子に変な事教え込んだりしてるんですか…!?本ッ当に…」
「あの…吉田さん…?こちらの方はどういう…?前に一緒にFES LIVEに来てくれた人だったと思うんだけど」
「手取川海瑠です。FES LIVE…ああ1月に急に吉田さんから呼ばれたやつ!よく見たら歌ってた人!スクールアイドルじゃないですか!吉田さんこんな子に本当に何したんですか!?」
「はーい、藤島慈でーす。前にるりちゃん…私の幼馴染が吉田さんに対して私に勉強を教えてあげて!ってお願いをして期末テストを助けてもらった仲です」
「成程…吉田さんにしてはちゃんとした活動の縁なんですね…」
「ミル辛辣ぅ!」
「だってそうじゃないですか!毎回毎回吉田さんが変な事して知り合った人が私を窓口だと思って来るんですから!」
「うーんなんかあんまり他人事だと思えない会話だ…今日はるりちゃんのお誕生日だから他にも受け取らないといけないプレゼントがあるから今日はこの辺で…」
「えっルリちゃん今日が誕生日なの!?」
吉田さんが凄い食いついてきた
「アタシも今日が誕生日!」
「えっ本当!?おめでとうございます!」
「ちょっと時間ある!?アタシもルリちゃんに贈り物したいからさ!」
「いいけど…あんまり本気にさせちゃうようなのはダメ」
「ふふっ…」
「手取川さん、何かおかしかったですか…?」
「素直で良いなあって。わたしもこれくらい素直だったらまた違った道を歩いていたのかなあってふと思ってしまいました」
「ほらほら2人とも!ボーッとしてないで。置いてくよ!」
「「はーい」」
「という事で前に会った吉田さんからるりちゃんへの誕生日プレゼントがこちらになります」
「ねえめぐちゃんこれ能登牛…!しかもすっげえ高っけえやつ!」
「ふしゃー!」
「ひめっちが知らない人が来た人見知りの猫みたいになってる…」
「アタシはその『吉田さん』を存じ上げないですし話聞く限り怪しい人にしか見えないので…!」
「吉田さんは悪い人じゃないよひめっち…これをルリのソロキャン飯で雑に食べるのはあまりにも勿体無いのでさやかちゃんに焼いてもらおう」
「狙い通り…さあるりちゃん!これがわたしからの本命ケーキ!受け取って!」
「これめぐちゃんから…!?すっご…」
「尊…死…」
「んもー姫芽ちゃん倒れてないで起き上がって!梢達も呼んでくるからさ!」
「はいっ!」
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