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九里宇ユミオ
2024年7月22日 10:20
だいふく東京に出てきてから6年の年月が流れた。夕暮れの古びた駄菓子屋で、私はレジ台の上に置かれたスルメイカのパッケージとビール缶を手に取った。仕事中にも関わらず、軽くビールを飲み始める。この店は古くからこの地にあり、昔ながらの佇まいを残した木造二階建ての建物だ。入り口のガラス引き戸の脇には、いつの間にか古びたガチャガチャが狛犬のように佇んでいた。スライドレールを渡ると、引き戸は日が沈むまで開