聖夜、サンタは布団の中でひとり泣く
長女は中学生になりました。去年、サンタからの最後の贈り物には「もう来年からはサンタは来ません」と英語の手紙がついていました。
「サンタって、いるの?」
「今年はサンタへの手紙書かない」
小学5年生の頃から、”サンタいない疑惑”を全面に出して、困らせてきた長女。
今年は、サンタの代わりにお父さんお母さんから図書カードをもらって、文句のないようすでした。
長女とはうってかわって、小学5年生になるのに微塵も疑う態度を見せない次女。せっせとサンタへの手紙を書いてツリーに置いています。
ふたりが寝静まり。サンタは次女へのお返事を書くため、PCでクリスマス風の便箋テンプレートを探し、静かにペンを走らせていました。サンタはツリーに手紙を置き、次女からの手紙を、サンタの寝室にある”お手紙ボックス”にしまおうと、そのフタを開けました。
すると出てきたのは、去年まで長女がくれていたサンタ宛ての手紙たち。
『サンタさん、〇〇がほしいです。お願いします』
サンタは思いました。
『もう、長女からは決して、手紙がもらえないんだ』と。
当たり前です。プレゼントはもうあげないと伝えたんだから。
その瞬間、サンタの脳裏にいろいろな想い出がよみがえってきました。
朝、プレゼントを見つけてうれしそうに開ける長女。
お父さんの誕生日パーティ兼クリスマスパーティにimovieで動画を作り
それを見せながら妹と司会進行をする長女。
母屋にいるじいじばあばを招くために、テーブルの席に名札をセッティングする長女。
まだこの家に引っ越してきたばかりの頃、大雪が降ってきた時、大きな窓の下に三人で寝転んで上から雪が落ちてくるのをみていたら、まるで自分たちが上にあがっていくような気がしたこと・・・。
長女からもう手紙がもらえないだけじゃなかった。あの瞬間も、この瞬間も、もう2度と戻ってくることがない大切な時間だったんだ。
サンタはそのことに気がつくと、涙があふれてきました。
明日からの日々も、大切にしよう。
サンタは布団のなかで泣きながら、相棒サンタのとなりで眠りにつきました。