Yasushi Kato

ボードゲーム・カードゲーム愛好家。海外のゲームデザイナーによる小論の翻訳はじめました。

Yasushi Kato

ボードゲーム・カードゲーム愛好家。海外のゲームデザイナーによる小論の翻訳はじめました。

マガジン

  • フランス流派探訪記

  • ブルーノ・フェイドゥッティ『テーマとメカニクス』

    ブルーノ・フェイドゥッティによるゲーム論の翻訳です。The Games Journallに全4回で連載されました。

最近の記事

七面鳥捜し(ケイト・ショパン)

ケイト・ショパン作の掌編 A Turkey Hunt(Bayou Folks, 1894)の全訳です。 もともとはブンゲイファイトクラブという企画の場外リングに投稿したものですが、解体に伴い、こちらに再掲します。ほんとうは手直ししたいところもあったのですが、一度発表したものゆえ、そちらは記事の末尾に追記というかたちに留めておきます。 以下、本文です。 補注(以下は Twitter に投稿した追記の転載) 欄外ですが、地理について補足します。 1. 小川=バイユーは、ミ

    • ツギハギ探偵団の紹介をGM公式サイトに載せました! http://gamemarket.jp/game/36876/ マニュアルは https://drive.google.com/file/d/0B-PPKvDV4g1pSWMweFRoaTRuUHM/view から読めます。

      • 「モンバサの政治性」の話ついでに。いまから2年ほど前、フェドゥッティが「ポストコロニアル・カタン」と題した冗談とも本気ともつかない講演を行い、一部のゲームシーンを沸かせました。書き起こしをブログで読めます http://faidutti.com/blog/?p=3780(じつは訳しかけの原稿があります)。ボードゲームにおけるテーマ選択のナイーブさをちくりと刺す内容です。自分のゲームを海外に売りたいデザイナーはこうしたことも意識しておかないと思わぬ損をするかもしれませんね。

        • ゲームマーケット、出店します

          お久しぶりです。 唐突ですが、2016秋のゲームマーケットに出店します。 「宣伝の時にしか更新しないブログって、お金がないときにだけ帰ってくるヒモみたいですね†」 ……。 タイトルは「ツギハギ探偵団 The Patchwork Detectives」。事件の要素を並べてみんなでお話をつくる創作型推理ゲームです。ストーリーテリングゲームやミステリ談義が好きな方はとくに楽しんでいただけると思います。詳しいことは(たぶん)近日中に! 当日はL03-06「米光と優秀なゲーム

        • 七面鳥捜し(ケイト・ショパン)

        • ツギハギ探偵団の紹介をGM公式サイトに載せました! http://gamemarket.jp/game/36876/ マニュアルは https://drive.google.com/file/d/0B-PPKvDV4g1pSWMweFRoaTRuUHM/view から読めます。

        • 「モンバサの政治性」の話ついでに。いまから2年ほど前、フェドゥッティが「ポストコロニアル・カタン」と題した冗談とも本気ともつかない講演を行い、一部のゲームシーンを沸かせました。書き起こしをブログで読めます http://faidutti.com/blog/?p=3780(じつは訳しかけの原稿があります)。ボードゲームにおけるテーマ選択のナイーブさをちくりと刺す内容です。自分のゲームを海外に売りたいデザイナーはこうしたことも意識しておかないと思わぬ損をするかもしれませんね。

        • ゲームマーケット、出店します

        マガジン

        • フランス流派探訪記
          2本
        • ブルーノ・フェイドゥッティ『テーマとメカニクス』
          4本

        記事

          アレクサンダー・プフィスターのインタビューの翻訳

          「ブルームサービス」「スカイ・アイランド」とドイツ年間ゲーム大賞のエキスパート部門(KDJ)を2年連続で受賞したゲームデザイナー、アレクサンダー・プフィスターのインタビュー記事の翻訳です。元記事はこちら(2016年1月公開)。インタビュアーのエリック・テオはニューヨーク在住のゲームデザイナー兼ゲームレビュアーで、自身のポッドキャストでレビューを配信したり、Kotaku などのメディアに記事を寄稿したりしています。快く翻訳を許可してくださったテオ氏に感謝します。 まだの方はニ

          アレクサンダー・プフィスターのインタビューの翻訳

          未然形の青春~『少年ノート』

          (※物語初期のネタバレがあります) ボーイソプラノは2度生まれる。 例えば中学に入ったばかりの頃、初めて入った音楽室で目にした、独特の配列を覚えている。 左から順に、ソプラノ、アルト、テノール、バス。女声と男声が、高音と低音が、この場所では明確に区別される。 男子部の席替えは学期の恒例行事だ。一人、また一人と席を移り、2年生に進む頃には、教室の右側は居場所のない声の吹きだまりと化している。 声変わり、である。 生来の歌声を失うことで、少年は肉体の時間の有限さを知る。 作り

          未然形の青春~『少年ノート』

          ドミニク・エルハルトの記事。どうにか一通り下訳(読解の結果を意味の通る日本語で書く、くらいの意味で使ってます)までしたのですが、5文ほど意味の取れないところもあり。間違いを広めるのは悪いし失礼だし、といって突然フランス語の語学力が向上することもなく。悩ましいです。

          ドミニク・エルハルトの記事。どうにか一通り下訳(読解の結果を意味の通る日本語で書く、くらいの意味で使ってます)までしたのですが、5文ほど意味の取れないところもあり。間違いを広めるのは悪いし失礼だし、といって突然フランス語の語学力が向上することもなく。悩ましいです。

          予告を兼ねて。ここ2〜3週ほどドミニク・エルハルトの記事に取り組んでいます。ゲームとアートと出版にまたがった大変ユニークな考察なのですが、当然フランス語。かつ専門的な内容でとても手強い。月が変わるまでには公開できる段階に持っていきたいです。

          予告を兼ねて。ここ2〜3週ほどドミニク・エルハルトの記事に取り組んでいます。ゲームとアートと出版にまたがった大変ユニークな考察なのですが、当然フランス語。かつ専門的な内容でとても手強い。月が変わるまでには公開できる段階に持っていきたいです。

          翻訳記事の新シリーズ。テーマはフランス流派です。言語の壁が厚すぎて物怖じしていましたが、耳の届く範囲で少しずつやっていこうかと思います。

          翻訳記事の新シリーズ。テーマはフランス流派です。言語の壁が厚すぎて物怖じしていましたが、耳の届く範囲で少しずつやっていこうかと思います。

          ブルーノ・カタラのデザイン技法

          『傭兵隊長』『あやつり人形』『キャメロットを覆う影』『これは何?』(Was'n das?)『キャッシュ&ガンズ』『カーゴ・ノワール』『世界の七不思議』『ディクシット』『ファブラ』……ここに挙げたゲームの共通点がわかるでしょうか? 答えは出自。いずれもフランスのデザイナーの手によるものです。 『世界の七不思議』に続く『ディクシット』のドイツゲーム大賞受賞以来、フランス流派は第三の流派としての地盤を固めました。“美的”、“物語的”、“感性指向”、さまざまな特性を指摘される一方

          ブルーノ・カタラのデザイン技法

          ブルーノ・フェイドゥッティ『​バランスの疑問』

          “ゲームの魂を貶めるのに   「一番強いやつの勝ちだ!」 という文句を上回るものはない” 『テーマとメカニクス』と題された連載もこれで最後——『バランスの疑問』の全訳をお届けします。“The Games Jounral”の元記事はこちらです。 フェイドゥッティ氏によるバランス論——効率的なバランス調整の方法を期待している方はご注意ください。 以下、本文です。 バランスの疑問バランスとは何だろうか。それは新米ゲームデザイナーにとって頭痛を招きがちな問いかけの一つだ。彼ら

          ブルーノ・フェイドゥッティ『​バランスの疑問』

          近々実装されるマガジン機能を使えば一連の翻訳記事をまとめられそうです。ありがたいことです。 余談ですが、自分は note のコンテンツオーガナイズは(たとえばユーザーによる任意のタグ付けとはまた違った)クリエーターやエディターの力を増幅する世界へ向かうことを期待しています。

          近々実装されるマガジン機能を使えば一連の翻訳記事をまとめられそうです。ありがたいことです。 余談ですが、自分は note のコンテンツオーガナイズは(たとえばユーザーによる任意のタグ付けとはまた違った)クリエーターやエディターの力を増幅する世界へ向かうことを期待しています。

          翻訳記事を作る身としては note に脚注機能が欲しいですね。現在取り組んでいる記事が10タイトルくらいのゲームに言及していて、いちいち説明を挿入していると読む人の注意力を削いでしまいます。もとより知っている人には不要な情報ですし。

          翻訳記事を作る身としては note に脚注機能が欲しいですね。現在取り組んでいる記事が10タイトルくらいのゲームに言及していて、いちいち説明を挿入していると読む人の注意力を削いでしまいます。もとより知っている人には不要な情報ですし。

          ブルーノ・フェイドゥッティ『ゲーム作家​​』『四本の腕で仕事をするということ』『栄えある海賊の歴史』

          “ゲームもまたあらゆる先行作品から発想を刺激される   参考や引用が行き交う文化的伝統の一員なのである” 好評第三回。ブルーノ・フェイドゥッティ『ゲーム作家』の全訳をお届けします。“The Games Jounral”の元記事はこちらです。 ゲーム制作に必要な資質は数学よりも歴史と文学によって育むものである——フェイドゥッティ氏の色濃いデザイナー論であり、また続く後半は豊富な経験に裏打ちされた共作論であります。氏と意見を異にする人であってさえ、こと共作歴において肩を並べら

          ブルーノ・フェイドゥッティ『ゲーム作家​​』『四本の腕で仕事をするということ』『栄えある海賊の歴史』

          『ゲームをおもしろくする16箇条』 気が早いですが同じくThe Games Journalより私が次に訳したい記事。 http://www.thegamesjournal.com/articles/WhatMakesaGame.shtml 著者はご存じウォルフガング・クラマー。 題目だけ眺めれば当然のことに見えますが、全て揃えるのは達人の業でしょう。

          『ゲームをおもしろくする16箇条』 気が早いですが同じくThe Games Journalより私が次に訳したい記事。 http://www.thegamesjournal.com/articles/WhatMakesaGame.shtml 著者はご存じウォルフガング・クラマー。 題目だけ眺めれば当然のことに見えますが、全て揃えるのは達人の業でしょう。

          ブルーノ・フェイドゥッティ『テーマとメカニクス』

          “ゲーム制作におけるテーマとメカニクスの関係性は   相補的というよりむしろ弁証法的である” 今回もブルーノ・フェイドゥッティ氏によるゲームデザインの方法論『テーマとメカニクス』の訳をお届けします。 前回の記事は実は「The Games Jounral」誌に連載された全四回のうちの一つで、今回の記事がその第一回に当たります(なので、早くアップしなければと思っていたのでした)。元記事はこちらです。 テーマかメカニクスかというおなじみの論題からはじまり、ドイツゲームとアメリ

          ブルーノ・フェイドゥッティ『テーマとメカニクス』