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店員のパニック

私は駅にあるコーヒーショップBeck'sで毎朝コーヒーを飲んでから会社に向かうのが日課だ。
その店では回数券を扱っていて、1綴5杯分の価格で6杯飲める。更に月曜日は購入時に1杯おまけがもらえる。非常に嬉しい回数券なのだ。

その日はコーヒーと一緒に菓子パン(¥220-)も購入することにした。
カールトンの上に使いかけの回数券を置いていたのだが、どうやらそれに気づかずに店員は「¥470です」と言ってきた。
私は「これ」と回数券を指差して、金額の修正を促した。
店員は慌ててレジを操作し菓子パン代¥220を表示した後、回数券の一枚をもぎる。
ここまでは普通だ。
私がSuicaで支払いを済ませていると、店員はもぎり終わった回数券の残りを「私の少し前に会計を済ませた客」を追いかけて返そうとした。
「ちょっと、それ私の回数券ですが」と声をかけたが「えっ? えっ?」と状況がわからない様子でキョロキョロしていた。
そこで私が手を差し出すとやっと回数券の残りを返してくれたが、なんとも腑に落ちない表情をしていた。

前の客は私がカウンターに並ぶ前にはそこを去っていたし、もし前の客の回数券だと思っていたなら、私の金額を修正したら不味いだろう。

何か彼女をそこまでパニックにさせたのか、ちょっとよくわからないが、とりあえず変なことにならずに済んだのは幸いだと思った。

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葉月 陽
ゲーム業界に身を置いたのは、はるか昔…… ファミコンやゲームボーイのタイトルにも携わりました。 デジタルガジェット好きで、趣味で小説などを書いています。 よろしければ暇つぶしにでもご覧ください。