〜警察沙汰の親子喧嘩〜
少々過激な描写があります。
度々、父親と拳を合わせてきたが
年齢と共に力も付いて来て、壮絶な喧嘩にエスカレートしていった。
19歳を目前に控えたある日、
実家にて
またも夫婦喧嘩がうるさかったので、ブチギレて怒鳴りながら途中で参加した。
もう父親が悪いとか、母親が悪いとか、
どうでもいい。ブッ殺○てやろうと思っての事だった。
親子3人、激しい罵り合いの末
母親のコメカミにフルスイングでフックを入れてフッ飛ばした。
どうやら意識は飛んだようだ。
死にゃしねーだろ。
父親は黙って見ている。
今までの経験上、父親が殴りかかって来ると思っていたが、黙って見ている。
ビビって何も出来ねーのか腰抜けが。
かかって来ない奴を相手にするのも面白くない。
そう思って背中を見せた時だった。
後頭部にとんでもない衝撃が来た。
僕はそのまま意識を失った。。
どのくらい意識を失っていたのか、
目を覚ますと、視線は床を縦に見ている。
どうやら床に倒れていた様だ。
夥(おびただ)しい血液の海と共に。
後頭部に激痛が走る。
後頭部をそっと撫でた手が血塗れになった。
とても自分の血とは思えなかった。
とんでもない血の量だった。
自分の置かれている状況が一瞬理解出来なかった。
起き上がるとすぐ側には掃除機が転がっていた。掃除機も血だらけ。
リビングを振り返ると
父親がソファでふんぞり返って、汗のかいたビチャビチャのグラスでウィスキーのロックをジュースの様に呑んでいる。
異様だったのは、その父親を知らないスーツ姿の男達が父親を見下ろす様に囲んでいた事だった。
全く理解が追いつかない。
刑事だった。
どうやら一連の親子喧嘩が尋常じゃないと判断した3つ歳下の妹が通報したらしい。
その瞬間、"大丈夫か?"
と声をかけてきた知らない男。
この男も刑事だった。
大丈夫な訳があるか。
いつから家に上がっていたのか分からない刑事達が、意識不明の被害者が目を覚ますまで
放置していたのもどうかと思う。
刑事に促され、2人で僕の元の"子供部屋"へと入ってアレコレ聞かれた。
事情聴取ってヤツか。
ふざけんな。まずは病院連れてけ。
そう言っても、どうやら話が先らしい。
ありのままを話した。
刑事が言うには母親は救急車で運ばれたと。
僕のフックで意識不明だと聞かされた。
死○ばいい。
今まで散々な目に遭わされたんだ。
『もしそうなると君を逮捕しなくてはならない』という説明を受けた。
だとしたら、あのソファで酒を浴びてるあのキチガイはなんだ?
仮に自分の妻が瀕死の状況で酒を呑んでいられる
【アレ】は?
全てが理解出来ない。
だが、もうどうでも良かった。
ある程度の事情聴取が終わった所で、
今度は2人の刑事に両脇を抱えられながら、近所の病院へ徒歩で連れて行かれた。
近くに病院があって良かったよ。ほんと。
すぐさま処置が行われたが、
頭部で出血が激しいからか、
麻酔無しで
"バチン!バチン!"
とホチキスの様な音と、その音に違わぬ器具で傷口を留められた。
いかんせん、後頭部なので見られない。
この時痛いので、大暴れして医者にもワンパン喰らわしてやったが、刑事に取り押さえられた。
罪には問われなかった。
6針縫った。
処置が終わるとすぐに自宅に帰された。
自宅に帰る途中、割と若いその刑事の口から聞かされた。
どうやら僕は背中を向けた瞬間、掃除機のボディで後頭部を殴られたらしい。
そうですか、そうですか。
痛みと憎しみと、殺意しかなかった。
帰宅すると、玄関の血の海は雑に拭かれていた。
父親と刑事達の姿は無かった。
妹が泣きながら出迎えてくれた。
だが、何も話さなかった。
話せなかった。
その日の事はそれ以降記憶が曖昧だ。
父親は翌日帰って来た。
お互いクチはきかなかった。
母親は脳震盪だったらしく、
2日後に退院した。
殺○てやろうと思っていたが、その時にはもう感情が【無】だった。
両親の事も、自分の事も、そしてこれからも、全てがどうでもよくなっていた。
★ご覧いただきありがとうございます。
この頃は本当に荒んでいました。
今思い出しても気分が悪くなります。
勿論、今は憎しみや殺意等の感情はありません。
ですが、親子関係の修復のしようの無い最大のキッカケになった一件だったと思います。
ここから、少しずつ動き出します。
19歳を目前に控えた僕の地獄の様な1人暮らしが。
今後ともお付き合いいただけますと幸いです。