おもに洋服の裏側左横に縫い付けられている、 品質表示ラベルを鼻の下や頬っぺたに スリスリする。 また二つに折り曲げられ縫い付けられた ラベルを親指と人差し指で挟み …
兄は昔の写真をみると視線の先に 弟であるわたしを見ている写真が多い。 親に甘やかされて育ったわたしを 親の代わりに叱りつけることも多く よく言えば面倒見がよかった…
昔、勤めていた会社の同期が結婚式を するというので6~7年ぶりに連絡があった。 近況報告も兼ねて 身の上話に花が咲いた。 懐かしかった。 彼女は異性でありながら どこ…
初めてフラれたのは幼稚園児のときだった。 同じクラスの女の子にしつこく好きな子は 誰だと聞かれ言ってしまい すぐさまバラされてしまったのだ。 30を過ぎた今でも忘れ…
そのときは静かにはじまった。 午前2時、どこからともなく引き笑いが 聞こえてきた。 わたしはいつものように#毎日note していた。 妻は眠っており、ベビーベッドから 視…
港の見える街はどの角度から見ても 絶景だった。 山から見える景色は一望だけではなく さながら"全望"が美しかった。 只、わたしには残念ながら 空気が合わなかった。 文…
「小さいうちはお金掛からんよ。」 子どもができたときに様々な人に言われた言葉だ。 「いやいやめっちゃかかるやんけ。」 そう思う。 わたしは本当に。謙遜ではなく、 …
いつのことだったか。 どれだけの時が過ぎたのかは わからない。 身は褪せ、劣化した姿で もう一度役目を果たすことができるのだろうか 今も待ち続けている。 相棒の姿を…
男にはヒミツの話があった。 支離滅裂で理解を求めるには 難解すぎた。 男は「あ~夢か。」 そのような夢か現実かをはっきりさせる 意識はなく、思うように自分だけの 物…
.5月某日午前0時 「いらっしゃいませ。1名様ですね。」 ファミリーレストランの女性店員は わたしを店内へと案内する。 「テーブル席にしてもらえますか?」 わたしの要…
15年ぶりにあった同級生と 見知らぬ3人とたこ焼きを焼いている。 「なんだこの集まりは。」 あまりのおかしな光景に心の声が 漏れてしまっていた。 「君は社会に不満が…
今日も仕事が終わった。 次の日が休日とおもうと、 作るのも買うのも億劫になったので 馴染みの居酒屋へ足を運んだ。 カウンターだけの狭い店内の 向かって右側がわたし定…
「おーごはん食べたんか?」 夜ご飯の心配をしてくれているのは 7~8年来ずっと500円で日替わり定食を 提供してくれている "おっちゃん" だ。 おっちゃんの本名は知らな…
「わたしと結婚するらしいですよw」 古い木製のドアを開くと開口一番に これだ。 「はい?」 少々飲み足りなかったわたしは 家の近くで足しげく通った 馴染みのバーがあ…
「投げるぞ~取れよ! ほいっ」 投げられたボールは重力のまま まっすぐ土の上へと落ちる。 「…は?」 父に向けられたその一言と疑問のクエスチョンの 二文字で不満を…
「あした大阪に帰ることになったわ。 じゃあねぇ~」 故意にあからさまに大人げなく そっけない態度で別れの挨拶をした。 「う、うん。じゃあね…」 引いた様子の彼女も…
sio.
2020年10月25日 01:12
おもに洋服の裏側左横に縫い付けられている、品質表示ラベルを鼻の下や頬っぺたにスリスリする。また二つに折り曲げられ縫い付けられたラベルを親指と人差し指で挟みシャカシャカする。ラベる。アン・ハサウェイ美しかった、レ・ミゼラブる。休日に会社から電話、仕事でトラブる。キリッとした旨さ、キリン黒ラベる。映画見てもラベる。仕事で嫌なことあってもラベる。酒のんで帰ってきて
2020年10月24日 01:00
兄は昔の写真をみると視線の先に弟であるわたしを見ている写真が多い。親に甘やかされて育ったわたしを親の代わりに叱りつけることも多くよく言えば面倒見がよかった。その反面、イジられることも多かった。わたしが驚いたり、なにか言うとゲラゲラ笑っていた。23時頃、1周1キロほどの道路を二人並んでランニングをしていた。「愚弟よ。」「なんだ愚兄よ。」このころ北斗の拳にハマっており
2020年10月22日 00:30
昔、勤めていた会社の同期が結婚式をするというので6~7年ぶりに連絡があった。近況報告も兼ねて身の上話に花が咲いた。懐かしかった。彼女は異性でありながらどことなく男性のようなさっぱりした部分と女性らしい繊細さをあわせ持ち、芸大卒の天才肌でもあった。よきも悪きも何でも言い合える同期だった。当時のように特に隠し事をすることもなく些細なことから離婚から再婚したという一般的には
2020年10月21日 01:18
初めてフラれたのは幼稚園児のときだった。同じクラスの女の子にしつこく好きな子は誰だと聞かれ言ってしまいすぐさまバラされてしまったのだ。30を過ぎた今でも忘れられぬほど戦慄が走ったことを覚えている。その好きな子がスタスタ向かってきて「わたしあなたのことスキじゃないから。」ショックだった。これが原因だったかは定かではないが何度もフラれた学生時代を謳歌することになった。それも恋
2020年10月20日 00:47
そのときは静かにはじまった。午前2時、どこからともなく引き笑いが聞こえてきた。わたしはいつものように#毎日note していた。妻は眠っており、ベビーベッドから視線を感じたのだ。暗闇のなかにスマホで照らすと覚醒した娘の姿があった。その日は就寝後、寝付けないようで苦戦したあげく寝ては起きてを繰り返しやっと寝静まった1~2時間後のことだった。朝を迎えたかのように大きく見開か
2020年10月19日 00:25
港の見える街はどの角度から見ても絶景だった。山から見える景色は一望だけではなくさながら"全望"が美しかった。只、わたしには残念ながら空気が合わなかった。文字通り帰省をすると風邪を引きなぜだか鼻炎になる。大阪の自宅へ帰ると、いや空港に到着すると回復するのだ。過ぎ去れば早いもので実家をでて人生の半分を大阪で過ごしている。大阪の空気こそ合っている。住んでいた街ではエ
2020年10月18日 02:23
「小さいうちはお金掛からんよ。」子どもができたときに様々な人に言われた言葉だ。「いやいやめっちゃかかるやんけ。」そう思う。わたしは本当に。謙遜ではなく、勉強しなかった。宿題は一度もこなしたことがなかったし夏休みの宿題を終わらせたこともなかった。それでも両親はなぜだか勉強しろとは言わなかった。言い訳にしかならない。遅ればせながら子ができてやっと補助金や税金・副業のことを調べ
2020年10月17日 00:07
いつのことだったか。どれだけの時が過ぎたのかはわからない。身は褪せ、劣化した姿でもう一度役目を果たすことができるのだろうか今も待ち続けている。相棒の姿を。主の姿を。まださよならを言うつもりはなかった。役目を全うするまでは文字通り一心同体なのだから。しかし突然別れは訪れた。車の乗り入れを防止するための太く冷たい鉄の棒にいま、突き刺さっている。底は天を仰ぎ、足を入れる
2020年10月15日 23:38
男にはヒミツの話があった。支離滅裂で理解を求めるには難解すぎた。男は「あ~夢か。」そのような夢か現実かをはっきりさせる意識はなく、思うように自分だけの物語を紡ぐことができればよいのだが自由なはずの男だけの世界は難解だった。空を飛びたい。しかし飛ぶことはできない。周囲の登場人物である友人だったり漫画のキャラクターたちは次々に飛び立っていくなか男は何度も試みるが地上から足が
2020年10月14日 22:20
.5月某日午前0時「いらっしゃいませ。1名様ですね。」ファミリーレストランの女性店員はわたしを店内へと案内する。「テーブル席にしてもらえますか?」わたしの要望に嫌な顔をせず、窓際の4人掛けの席へと案内された。「お決まりの頃お伺いいたしますね。」マニュアル通りの対応を見送りメニューを決める。呼び出しボタンを押しオーダーをした。「全部二つずつお願いします。」少々強張
2020年10月14日 00:36
15年ぶりにあった同級生と見知らぬ3人とたこ焼きを焼いている。「なんだこの集まりは。」あまりのおかしな光景に心の声が漏れてしまっていた。「君は社会に不満があるようだね。辛いだろう?」座っていてもわかるほどの身長の高い男性が言う。「辛いなら言ってごらんよ。全部吐き出そう。」示し合わしたかのように中背小太りの男性が煽ってくる。「仕事が辛いのかな?」さらに被せてくる
2020年10月13日 07:18
今日も仕事が終わった。次の日が休日とおもうと、作るのも買うのも億劫になったので馴染みの居酒屋へ足を運んだ。カウンターだけの狭い店内の向かって右側がわたし定位置だ。いつもの位置に腰掛けるとキンキンに冷えたビールと塩辛がでてきた。「うまい。」一日が終わったという気にさせてくれる。ビールをちびちび飲みながら深夜番組をみていたら一番奥の向かって左側から声が聞こえてきた。
2020年10月11日 22:33
「おーごはん食べたんか?」夜ご飯の心配をしてくれているのは7~8年来ずっと500円で日替わり定食を提供してくれている "おっちゃん" だ。おっちゃんの本名は知らない。しかし身内以上にわたしのプライベートを網羅しているお方だ。23:50自宅近くの最寄り駅へ着いた。仕事が長引いてしまい、夜ご飯もまだだった。気の効いた24時間営業のレストランや牛丼が食べれるお店もなく終電
2020年10月11日 01:55
「わたしと結婚するらしいですよw」古い木製のドアを開くと開口一番にこれだ。「はい?」少々飲み足りなかったわたしは家の近くで足しげく通った馴染みのバーがあった。そこで働く女の子から変なプロポーズをされたところだった。左の端に座る見慣れぬ男性も馴染みの客のようだった。その客が言葉足らずな言動に付け加えるかのように言った。「いやぁこの子がさ、早く結婚したいっていうか
2020年10月10日 07:24
「投げるぞ~取れよ! ほいっ」投げられたボールは重力のまままっすぐ土の上へと落ちる。「…は?」父に向けられたその一言と疑問のクエスチョンの二文字で不満を表しているのは小学生のわたしだ。その日は父に誘われるがままキャッチボールをするぞ。ということになりあまり気乗りしないわたしを半ば強引に公園へと誘い出したのだ。気乗りしない理由は面倒くさいわけではなかった。父との遊び
2020年10月9日 01:05
「あした大阪に帰ることになったわ。じゃあねぇ~」故意にあからさまに大人げなくそっけない態度で別れの挨拶をした。「う、うん。じゃあね…」引いた様子の彼女も簡単に別れの挨拶を返した。彼女の横にはわたしの先輩がいた。楽しそうに会話をしている姿に無性に腹を立てていたのだ。わたしとその先輩を含む10名の営業マンが大阪より東京に出向にきていた。アパートを借り上げ男子寮のように