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お母さんに言うと、なくしたものが見つかるのはどうして

幼い頃、不思議だったことがある。

私はしょっちゅう物を失くす子供だった。

全力で探すが、どうしても見つからない。

「おかあさぁ〜ん」

なぜだろう。
母に言うとすぐ見つかるのだ。

「ちゃんと自分で探しなさい!」

探したんだけどな…。

おととい、会社で使っている機器を紛失した。
いろんなデータが入っているiPods。

やばい。
やばい。
やばい。

五人がかりで一時間探したが見つからない。
ここも、あそこも、ゴミ捨て場に持っていったゴミ袋も。

もうダメだ。
諦めよう。

大変なことだ。メールじゃいけない。
申し訳ないと思いつつ、
土曜日の21時半、休みの上司に電話。

「すみません、紛失しました。」

「ちゃんと探したの?」

「はい、今まで探してました。」

「ゴミに入っちゃったりしてない?」

ゴミの中は…私は見てない。
スタッフが探していた。

「私に何をして欲しくて電話してきたの?
本当にないんだったら私から上に報告しないといけないから。
私に連絡するのは、ちゃんと探してからでしょ!」

「…はい」

本当にないから、電話したんだけどな。
一応、捨てたゴミ、見に行こうか…。

ゴミ捨て場に行き、ゴミ袋の袋を開けて、中身を全部出して探す。

…あった

上司にまた電話。
「何回もお電話すみません」

「あったんでしょ」

「ハイ…」

「あのねぇ、Y0K0さん、落ち着いて。
念には念を入れて、できることがないか考えて。あなた管理者なのよ‼︎」

…何でこんなことになっちゃうんだろう。

私が考えるに。

ない、ない、と思うから見つからないのだ。
五人でどれだけ時間をかけたって、全員が「ない」と思っているから見つからない。

電話をして怒られた刺激で、気持ちが切り替わったから見つかったのだ。

…なんて、絶対言えない。

それにしても。
こんな子供みたいな怒られ方するなんて。

私はとっくに子供じゃないし、
上司はお母さんじゃないのよ。

なんだかとっても情けない。

とにかく、見つかって良かった‼︎

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