お母さんに言うと、なくしたものが見つかるのはどうして
幼い頃、不思議だったことがある。
私はしょっちゅう物を失くす子供だった。
全力で探すが、どうしても見つからない。
「おかあさぁ〜ん」
なぜだろう。
母に言うとすぐ見つかるのだ。
「ちゃんと自分で探しなさい!」
探したんだけどな…。
*
おととい、会社で使っている機器を紛失した。
いろんなデータが入っているiPods。
やばい。
やばい。
やばい。
五人がかりで一時間探したが見つからない。
ここも、あそこも、ゴミ捨て場に持っていったゴミ袋も。
もうダメだ。
諦めよう。
大変なことだ。メールじゃいけない。
申し訳ないと思いつつ、
土曜日の21時半、休みの上司に電話。
「すみません、紛失しました。」
「ちゃんと探したの?」
「はい、今まで探してました。」
「ゴミに入っちゃったりしてない?」
ゴミの中は…私は見てない。
スタッフが探していた。
「私に何をして欲しくて電話してきたの?
本当にないんだったら私から上に報告しないといけないから。
私に連絡するのは、ちゃんと探してからでしょ!」
「…はい」
本当にないから、電話したんだけどな。
一応、捨てたゴミ、見に行こうか…。
ゴミ捨て場に行き、ゴミ袋の袋を開けて、中身を全部出して探す。
…
…
…あった
*
上司にまた電話。
「何回もお電話すみません」
「あったんでしょ」
「ハイ…」
「あのねぇ、Y0K0さん、落ち着いて。
念には念を入れて、できることがないか考えて。あなた管理者なのよ‼︎」
…何でこんなことになっちゃうんだろう。
*
私が考えるに。
ない、ない、と思うから見つからないのだ。
五人でどれだけ時間をかけたって、全員が「ない」と思っているから見つからない。
電話をして怒られた刺激で、気持ちが切り替わったから見つかったのだ。
…なんて、絶対言えない。
それにしても。
こんな子供みたいな怒られ方するなんて。
私はとっくに子供じゃないし、
上司はお母さんじゃないのよ。
なんだかとっても情けない。
とにかく、見つかって良かった‼︎