好き嫌いを超えて
あんまり好きじゃない人と話したら、
その人がいままで頑張って生きてきたことを知った。
あの人は好き、この人は嫌い、
あの人といると楽しい、この人とは関わりたくない…
人に対してそんなことを思いがちだけど。
みんなその人の人生を一生懸命生きている。
あんまり好きじゃない人とふたりきりになってしまった。何か話をしないといけない。
仕方がないので興味はないけどとりあえず、仕事のことを聞いてみた。
介護職を20年以上されているらしい。
50代の女性だから、30代のころからか。
彼女のストーリーはこうだった。
結婚して子供ができたけど、離婚した。
その時に介護の資格を取ろうと決意した。
介護の仕事に興味を持ったのは、自分がおばあちゃん子だったから。
でも当時は、県内で資格試験を受けられるところがなかった。
泊まりがけで県外に行く必要があったが、小学生の子供を預られるところがなかった。
だから子供が中学生になるまで待って、やっと受験して合格できた。
最初のうちは子供との生活のバランスをとるため、夜勤のないデイサービスで働いた。アルバイトだった。
子供が大きくなるにつれ、夜勤がある介護施設で正社員として働くようになった。
今は仕事はとっても大変だけど満足のいくお給料が貰えていて、子供も手を離れて、充実した生活を送っている。
思わず言った。
「頑張りましたね」
彼女は答えた。
「そうね。そうやって子供を学校へ通わせて大きくしたしね。」
私が好きではないこの人は、
自分の人生を頑張って生きてきた人だった。
彼女だけじゃない、みんなそうだ。
一生懸命生きていない人はいないし、
一生懸命じゃなく生きることはできない。
仮に一生懸命生きられてなかったとしたら、少なからず虚しさや罪悪感を感じるはずで、その感情を味わっていることがもう一生懸命だ。
そのことを忘れないようにしたい。
好き嫌いとか良いとか悪いとか私の独りよがりなジャッジを超えたもっと高い次元の感覚で、人と関わっていきたい。
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