敗北を知った日
彼とは未だにシングルベッドで寝ている。
枕は2つ並べて、お互い体感温度が違うので布団もそれぞれ掛ける枚数が違って、もちろんかなり窮屈だ。
先日の夜。2人とも仕事で疲れ果てていて早く眠りたいので、競うように寝室へ向かった。
彼の方が一足先にベッドへ飛び込む。
ベッドは占領され、私の枕と布団はフィールド外に投げ飛ばされた。彼はベッドの真ん中で自分の寝具を抱え込み私に横たわるスペースを与えない。腹立つ〜〜〜。私も陣地を奪おうと応戦する。
こういう小競り合いの茶番はしょっちゅうやるので慣れている。いつもだいたい1,2分で飽きて平和に就寝するところが、この日は違った。
5分以上経っても決着がつかない。このごろラグビーのワールドカップを観ていたせいだと思う。
彼をベッドから引きずり下ろそうと懸命にタックルする私、うつ伏せで踏ん張り耐える彼、本気のぶつかり合い、事実上の決勝戦。
さすがに2人とも呼吸が乱れてきて、それでもなおベッドに入れてもらえない。なんなんだ。
埒があかないので、私は自分の布団を持って居間に逃げた。クッションに倒れ込み、そのままひとりで眠った。完全敗北。
もしかしたら彼は私になにか不満があって一緒に寝たくないと思い追い出したのかも、とか考えてちょっと落ち込んだ。後で聞いたら本当にただふざけて暴れていただけだった。まじでなんなんだ。
翌朝目が覚めると、これまでの人生でいちばん顔がむくんでいた。敗北のむくみ。
彼は久々にベッドを広々使えて寝心地がよかったらしい。腹立つ〜〜〜。
でもこういうのが実はいちばん楽しいので、しばらくダブルベッドにはしないと思う。
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