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み空
カフェ、吟遊詩人からの帰り道、珈琲、と潔い看板に目がとまり、吸い込まれるように店の中へ、み空、半地下のような空間ながら、薄暗い印象はなく、風通しの良い空間、明るい廃墟、というか、少し不思議な、SF的な、そんなムードも漂っている、カウンターにつき、珈琲を注文、薄めか濃いめか選べたので、濃いめにした、ネルドリップでじっくりと抽出する店主の、後ろ姿を眺めながら、レコードの音に耳を傾ける、至福のひととき、そして珈琲、美味い、深い薫香と完熟した果実のような甘み、これぞ深煎り、これぞネルドリップ、そして濃い、濃いのに、飲みづらくない、苦味が、甘さや、とろんとした質感によって、中和されているからか、突き抜けた味のようでいて、実はバランスによって成り立っている、珈琲、本当に、奥が深い、それにしても今日という日は、どうしてこんなにも美しいんだろう。
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