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半グレごっこ7

オーナーと関係を深める事は出来なかったが、ノウハウを吸収して店舗を出すという目的の為に変わらず悪行に励んだ。この頃山本と北沢はLEON社長に不思議な儲け話を振られていた。

某有名カードゲームで大会優勝者だけが貰う事のできるレアカードだ。このカードを工場に発注するにあたり一枚だけ作ると採算が合わず赤字になる。その為、裏で何枚も発注してカードを作りこっそりと流す事で利益が出せる。トレーディングカードは高く売れると言った話だ。山本と北沢はこの話に乗り後に大損していた。

私がこの振り込め犯罪結社に入社して一ヶ月がたつ頃に事件が起きた。東京の箱の裏切りだ。東京の箱は自分達で他人名義の口座を用意し、被害者達に金を振り込ませて全員で金を抜いていたのだ。その上、次のクールでやる商材の情報、オーナーの情報などすべて警察にリークして雲隠れしてしまった。

この事から組織は稼働しなくなり、箱は閉鎖。証拠隠滅の作業に時間を費やすことになった。LEON社長も東京の箱の人間でこの絵を書いた1人だ。その後LEON社長の姿を見ることはなかった。

私はすごい裏切りだと思いながらも、これが賢いやり方で裏の世界では騙し討は当然の事だと間違った解釈をしてしまった。自分もいずれこれくらいの絵を書かなければいけない。

ひと通り証拠隠滅の作業を終えると、山本と北沢と今後どうするかと言った話し合いになった。

私は「まだこの仕事の旨味を知らない。やりきれてない。続けたいと」山本と北沢に思いを伝えた。私の下の人間たちも1人はこのまま続けたいと答え、2人はこの組織を去る選択を選んだ。

私の強い希望から、山本はオーナーに掛け合い、私は新たにはじめる関西の箱でトップになる話をもらう事ができた。私は新たに下の人間を1人用意し、3人で大阪の地へと向かった。

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