半グレごっこ3
仕事を受ける事にした私は、自分の下の人間3人をつれて現場に向かった。指定された駅前で待っていると私よりも大きな体格のイカツイ男がやってきた。歳は40代半ばに見えたが実際の年齢は31歳。まだ6月だというのに汗だくでスーツのシャツはびしょ濡れだった。
私が「こいつポン中か?」と思っていると
その男は「この前はすまなかったな。お前が色々と画策してうちをハメようとしてるのかと思ってつい声を荒げてしまった。」
私を迎えに来た男が電話で話をした先の人間だった。その男に案内されるままに、駅から少し離れたキレイな雑居ビルに連れて行かれた。
エレベーターで3階に上がるとパーテーションで区切られたオフィスがあり、入口部分にはipotで音楽が流されていた。中にはオフィスのデスクがいくつも並び、一応の応接スペースが設けられていた。
デスクには胡散臭いいかにも怪しい雰囲気の小太りの中年の男2人とチンピラのような男が2人、社長と呼ばれる雑誌LEONのモデルのような男が一人いた。
「みんな自分のケータイは持ってきてないよな?これから仕事の説明をするから」と小太りの中年の男2人が近寄ってきた。
男達は山本、北沢と名乗った。当然偽名だ。
実質的に現場のクロージングはこの二人が行っている様子だった。
山本「この仕事はさ、昔未公開株を買って損した人間にマッチポンプって詐欺の手法で営業をかけてまた未上場の金融商品を売りつけるんだよ。昔損した人間にその分を取り返せますよってまた抱合せで買わせんの。」
北沢「一回買わせちゃえばパチンコと同じで引けなくなって、投資した分を取り戻したいってどんどん言われるままに金振り込むからさ。簡単だよ。客に儲かりますって夢を見させて、永遠にその夢から冷めさせないように仕向けるんだよ。まずはみんなの現場での名前を決めようか?これからはその名前でやりとりしよう。」
私は佐藤と名乗る事にした。
山本「よし!習うより慣れろだ!まず電話で営業してみよう!このマニュアル通りにまずは営業してみて!」
私達は早速電話での営業をすることになった。破滅の入り口の詐欺デビューだ。
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