読了☆生命式

帯通り、危険な短編集。読み終わったら自分がおかしいのではないかと思ってしまう。覚悟して読むべき。性と非常識を、気持ち悪く、美しく、当たり前のように、常識のように書く。しかし、非常識さを感じさせないところがこわい。非常識が常識になった一般人の内の一人として物語に参加している気分で話が進んでいく。ゆえに主人公がおかしくて気持ちが悪いという違和感を覚えたまま話は最後に到達する。そこで突如訪れる主人公や周囲の人々の意識の変化を目の当たりにして、こちらは困惑して、今までの自分の常識は何だったのだろうかという余韻と疑問と気持ち悪さが残される。当たり前って一番こわい。一緒、同調圧力、世間、それこそが狂気。読んだ後、世界が変わる。最後に孵化を持ってきたのには感動した。本質を突きつけられた。是非読んで欲しい。

響いた文章。
楽しめばいいんだよ、この一瞬の世界をさぁ(生命式)
食べることは、その食べ物の世界に洗脳されるということ(素晴らしい食卓)
汚いものを人は信じるから(孵化)