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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句

第438回 言志録(佐藤一斎)

人方少壮時、不知惜陰。雖知不至太惜。過四十已後、始知惜陰。既知之時、精力漸耗。
(人、少壮の時に方(あたり)ては、惜陰を知らず。知るといえども太(はなはだ)しくは惜しむに至らず。四十を過ぎて已後、始めて惜陰を知る。既に知の時は、精力ようやく耗(こう)す)
 
   江戸時代の儒学者、佐藤一斎(さとう いっさい、1772~1859)の『言志録』から。老境に入った人間には、思い半ばに過ぎるものがあるだろう。この文章の次に、学をなすには少壮時から時を惜しんで勉励しなければならない、と説く。
 一斎は代々岩村藩の家老を務める家に生まれ、昌平坂学問所で学んだ。朱子学を専門とし、儒学の大成者として尊敬を集める。学問所の総長として後進を指導し、膝下から佐久間象山・渡辺崋山・横井楠南らが育った。
 また、一斎は漢文訓読法について独自の文体を考案した。この読み方が現在の漢文訓読法の基礎となっている。

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