七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)
第290回 ロランの歌(作者不詳)
EN L ORIET PUNT ASEZ I AD RELIQUES
LA DENT SEINT PERRE E DEL SANC SEINT BASILIE
E DES CHEVELS MUN SEIGNOR SEINT DENISE,
DEL VESTEMENT I AD SEINTE MARIE.
(その黄金の柄のなかに多くの聖遺物があった。
聖者ペテロの歯、聖者バジルの血、わが主君聖者ドゥニの毛髪、
聖母マリアの衣片。)
11世紀に最初期のフランス語で書かれた『ロランの歌(La Chanson de Roland)』から。シャルル大帝が騎士ロランに下賜した剣の柄に4つの聖遺物が秘匿されている。ロランはこの剣で難敵を次々と倒していく。『ロランの歌』は『ニーベルンゲンの歌』とともに中世の叙事詩の二大傑作と言われる。
聖者バジルは、4世紀のギリシャ人教父。カイサリアのバシレイオスとも呼ばれる。三位一体論の確立や聖体礼儀の奉神礼文の整備で知られる。
聖者ドゥニは、3世紀に殉死したパリの守護聖人。パリのディオニュシウスとも呼ばれる。