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七色のポエジー(書きとめておきたい古今東西の詩句)
第257回 序詞(ユン・ドンジュ)
死ぬ日まで天を仰ぎ、一点の恥じ入ることもないことを、
葉あいにおきる風にさえ私は思い煩った。
星を歌う心ですべての絶え入るものをいとおしまねば
そして私に与えられた道を歩いていかねば。
日本占領下の朝鮮人詩人、尹東柱(ユン・ドンジュ、1917~1945)の代表作「序詞」の冒頭部分。原詩はハングルで書かれ、日本語訳は在日詩人の金時鐘(キム シジョン、1929~)による。
尹は日本の植民地支配に抵抗した朝鮮人たちが入植したロシアとの国境に近い村で生まれた。1942年、上京して立教大学に入学。同年10月、同志社大学に転学。その翌年、独立運動の嫌疑で警察に逮捕され、治安維持法違反で懲役2年の判決を受ける。福岡刑務所で服役したが、1年も経たないうちに獄死した。
金時鐘によると、尹東柱の詩自体に政治色はないが、暗がりの素顔が浮かびあがり言いようのない悲しみが表出している。それが使用禁止のハングルで書かれたため、反皇国臣民的行為の決意を伴っていたという。